校長室から

6月の朝会講話より

 校訓の「勤労」、教育目標の「自ら学ぶ人」「勤労を尊ぶ人」に関連して、『なぜ学ぶのか?』『どのような資質・能力を身に付けるのか?』について話をしました。
 私が子どもの頃(今から40年から50年前)は、高度経済成長の時期で、大量に物を製造して売る時代だったので、たくさんの知識を詰め込む教育が必要でした。今の子どもたちが10年後、15年後に大人になる頃は、超少子高齢化、グローバル化、人工知能の発達の時代になり、先が見えにくい時代になることでしょう。ある学者は、今の職業の半分はなくなる、つまりロボットができる仕事はロボットに任せる(実際に、自動車の自動運転、スパーでは買い物かごに入れて会計の場所におくだけで計算してくれるところがでてきている、病院も機械で会計ができる)時代になるだろうと言っています。
 そこで、生徒たちに、何のために勉強し、どんな資質・能力を身に付けなければならいかを考えさせました。「君たちは円の面積が求められます。そうです、(半径)×(半径)×(円周率)です。」このことが生活の中で役に立つと感じた人はいますか?・・・・・・テストでは役立っていますが、生活ではまったく使っていませんね。」「生活の中で役に立つ勉強は、知っていることを使って新たなものを発見することにあります。古代エジプトの時代に、ナイル川がたびたび氾濫し、土地の境が分からなくなり、縄張り屋さんという職業の人達が、3:4:5の直角三角形を発見し、測量したことによって土地の争いがなくなったと言われています。それが何度も続けられ、数学が発展しました。」
「円は三角形の集まりです。 
三角形の面積の求め方(底辺)×(高さ)×1/2から、円の面積の求め方が見つけ出せます。また、古代エジプトの数学者タレスは一本の棒でピラミッドの高さを求めて見せました。」   たくさんの三角形の底辺は全部集めれば円周の長さです。また、三角形の高さは、円の半径のことです。したがって、
(底辺)×(高さ)×1/2=(円周)×(半径)×1/2
              =2×(半径)×(円周率)×(半径)×1/2
              =(半径)×(半径)×(円周率)   となります。
「このように、知っていることを使って、新たな価値を見いだす能力が、これから、我々人間に必要な能力です。テストに出ることは、もちろん土台ですからできなければなりませんが、このような能力を身に付けようと勉強してください。授業の中の先生の問いかけに、『主体的・対話的に深く考え』てください。そして、生活の中で生かし、社会に貢献してください。」