「生き方講話」への思い
音楽 保健体育 社会
たくさんの保護者の方に授業を参観していただき、ありがとうござい
ました。学校評価(ねらい:学校のめざしている目標の達成状況や
達成に向けた取組について評価すること、その評価結果を公表し、説明
責任を果たすこと、保護者、地域住民から理解と参画を得て、連携協力
によって学校を運営すること)のためにも、学校の様子を是非見ていただ
きたいと思っています。学力向上には、保護者の方が学校を知り、協力
・連携していくことが必要です。これからの子どもたちに求められてい
る能力の1つに課題発見・課題解決能力があります。上の写真の体育の
授業(バレーボール)では、映像で自分の動きを確認し、グループで問題
点の克服を話し合っています。このように、協働して、多様な考えに気
づき、自分の考えを深めていく中で、課題を解決していく能力を身に付
ける授業が展開されています。昔のような、知識を詰め込む授業だけで
は、これからの社会では生かせる能力にはなりません。知識はスマフォ
で検索すればすむ時代です。
サトーカメラの専務さん 考えることの大切さを伝える 真剣なまなざしで聞く生徒
私は、今年の2月、次期学習指導要領は何をねらいとしているの
か、カリキュラムマネージメントで、学校は、教師は、何をしたらよ
いのかを学ぶために、「第21回教育シンポジウムin東京」に参加し
ました。サトーカメラ代表取締役専務の佐藤勝人 氏が記念講演の講
師でした。佐藤氏は、23歳で家業のカメラ店をチェーン化し、社員
ゼロから兄弟でスターしました。次期学習指導要領がめざしている教
育をいち早く実践し、従業員(アソシエイト)150名を育成しながら、
栃木県内18店舗まで「サトカメ」を拡大しました。販売シェア17
年間栃木No.1を達成させた若き経営者です。2000年からは経営コ
ンサルタントの仕事も始め、今では、外国まで指導に行って、中から
会社を建て直す手伝いをしているそうです。
佐藤氏の話を聞いて、中学校に赴任したならば、生徒、保護者、そ
して先生方にぜひ聞かせたい、と思っていて、今回、実現したことに
感謝しています。これもひとえに、講演料なしで来ていただくという、
佐藤氏のおかげでした。東京と本校での話を簡潔にまとめ、紹介しま
す。
佐藤氏は中学生で挫折し、ほとんど勉強せず、その結果、不安で不
安で仕方がない毎日だったそうです。人生の目的が24歳で初めて見
え、周りに尊敬できる大人がいなかったから、自分が尊敬される大人
になろう、人に影響を与える人間になろうと決めたそうです。人生の
「目標」は、あれが欲しい、こうなりたいなど常にあるが、目標は夢
と同じでかなわないことが多いし、ころころ変わる。ところが、目的
をみずに目標ばかり見ているから、人の足を引っ張ってまでも自分の
夢を達成しようとする。頭のよい子はだいたい「目標」だけ、できな
い子はそれすらもっていない。だから、「目標」は達成しなくてもい
い。「目的」は何か、それが大切だ、と語っていました。
カメラ業界の売上高は、2000年をピークに、今は14分の1ま
で落ち込んでます。当時、佐藤氏は、デジカメが拡大してフィルムは
なくなってしまうだろうと思っていたそうです。しかし、大手の社長
は、140年続くフィルムの歴史と伝統が消えるはずはないと言って
いました。しかし、実際に、毎年、2割、3割と売り上げは落ちて、
さすがに気づいたそうです。大手の言うことを聞いていたらダメにな
る。もう信じない。そこで佐藤氏は、フィルムを買ってカメラを買っ
てフィルムを現像するという業界のビジネスモデルに見切りを付け、
自分たちで自立していくことを決意したそうです。それが2003年、
30代半ばだったそうです。
これまでの「目標達成すればいい、売り上げ第一だ」という考え
を捨て、地域の人々の「思い出をキレイに一生残すために」を会社の
コンセプトにしたそうです。(これが目標より目的が大切ということ
でしょう。)その思いを18店舗を回って150人一人一人に伝えた
そうです。その結果、栃木県は全国平均の3~4倍
もカメラ、レンズ、写真が売れている県なったそうです。
よく聞かれるそうです。「どういう教育をすれば、こんなに社員
さんが元気に生き生き働けるんですか?」 佐藤氏は誉めて育てるこ
とはしない」、そうすると上司に誉めてもらいたいから仕事をすると
なる。「お客さんに誉めてもらいなさい。」「感謝される人になろう。
ありがとうと言われる人になろう」と言っているそうです。そうした
ところ、従業員からいろいろな考え、案が出てきたそうです。つまり、
知恵、考える力が出てきたということです。これからの時代、人工知能
に勝つために、会社では十数年前から、課題解決提案型という商売の仕
方をしているそうです。問題にすら気づいていない人(つまり、思い出
をキレイに残すことのよさに気づいていない人、カメラで何をしたいの
かがわからない人)に問題に気づかせて売るということを考えたそうで
す。だから、全国平均の3~4倍というマーケットをつくることができ
たそうです。
以上、講演の一部を紹介しました。
学校で考えるなら、勉強する気のない子どもに、勉強する面白さを教
えて、自分から勉強させることになります。県教委の学力向上専門員の
戸田先生からも次のようなことばを教わりました。
『平凡な教師は言って聞かせる。』
『よい教師は説明する。』
『優秀な教師はやってみせる。』
『しかし最高の教師は子どもの心に火をつける。』
本校では、子どもたちが「わかる、できる、もっとやってみたい」と
思う授業をめざし頑張っています。