校長室より

自然と人間(校長室より No.48)

本日、10月2日付けの下野新聞に環境省の調査結果が掲載されていました。
全国各地で自然の長期的な変化を調べたところ、里山や里地にいる鳥やチョウなどの身近な生物の個体数が急速に減っていることが分かったそうです。
中でも、スズメやオナガなど、どこにでもいる普通種の減少が深刻なようです。
同日の同紙の紙面には、元京都大学長で霊長類の研究者でもある、山極寿一氏の論説が掲載されていました。
その一部を要約します。


関野吉晴氏の映画が教えてくれる最も大切なことは、私たち現代人が自然の循環から外れた道を歩んでいる事実であろう。
動物たちが分解できない薬物や人工添加物を摂取し、消化できないプラごみを大量にまき散らし、シロアリがつかない材料で家やビルを建てる。
土壌をコンクリートで固め、化学肥料や農薬で汚染し、分解者たちを排除してしまう。
人間が循環の道を外れるどころか、自然の流れを断ち切り、生物圏を崩壊させているのだ。
都市生活はその最たるもので、映画の中に出てくる東京の玉川上水を分断する道路計画もその危惧を抱かせる。
この川は動植物たちの貴重な連携の通路である。
自分たちの便宜だけを考えて自然を改変すれば、必ず自然からのしっぺ返しを受ける。
壊れた自然は元には戻らない。
そうならないうちに、私たちの日々の営みを自然の流れに沿って見つめ直さなければならない。
地球環境が大きく変動し始めている今、自然のリサイクルは待ったなしの緊急課題だと思う。


本日の真岡市の最高気温は、31.1℃でした。
10月としては異例の暑さであり、昨日、今日と全国でも多くの地点で30℃以上の真夏日となっています。
このような急激な気候変動も、人間のわがままな日々の営みの結果かもしれません。
私たち人間は、自然の中で生かされていることを忘れてはいけないと思います。
本校では、全学年で総合的な学習の時間に、「SDGs」についての探究的な学びを進めています。
そこでの学びが、将来の地球環境保全への原動力になることを信じています。