校長室より

2年連続の「観測史上最も暑い夏」と「東中SDGs宣言」(校長室より No.47)

「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉がありますが、今週に入ってやっと猛暑が落ち着き、秋の気配を感じるようになりました。
熱中症のリスクも下がり、少し安心しているところです。
昨年の夏は、全国の平均気温が1898年の統計開始以来最高となり、「観測史上最も暑い夏」となりましたが、今年も同様の平均気温を記録し、2年連続の「観測史上最も暑い夏」となってしまいました。
果たして、この猛暑は何が原因なのでしょうか。地球の過去の気候変動を基に考えてみたいと思います。


地球の大気には生命活動に必須の酸素がふんだんにあり、温室効果をもつ二酸化炭素が適度にブレンドされている。
そのため、地表の年平均気温は15℃前後で、昼夜の寒暖差も小さく、生命にとってまさに「奇跡の星」となっている。
現在は非常に穏やかな気候になっているが、地球が約46億年前に誕生してから現在に至るまで、その気候は激しく変化してきた。
◆地球は過去において複数回、赤道付近まで氷に覆われる「スノーボールアース(雪玉地球)」の時代を経験している。氷床の厚さは1000m以上にも及び、液体の水は深海底や火山周辺の地熱地帯にしか存在しなかった。反対に、恐竜の全盛期と言われる白亜紀は非常に高温で、極地方にすら氷床が存在しない「グリーンハウスアース(温室地球)」の状態であった。
◆現在は、氷河時代の比較的温暖な時期である間氷期であり、氷床はグリーンランドや南極大陸など極地方にのみ存在している。
◆気候変化の要因は様々だが、最も大きな影響力を持つのが大気中の二酸化炭素濃度である。急激な気候変動にブレーキを掛け、一定の振幅に収めているのは、大気とそれ以外の地球(海やマントルなど)との間の炭素のやりとりである。
◆しかし、近年、この抜群のフィードバックシステムにほころびが生じている。原因は、化石燃料の使用に伴う、二酸化炭素を中心とした温室効果ガスの大気中への大量放出である。間氷期には約280ppmでほぼ一定だった二酸化炭素濃度は、産業革命以降増え続け、2018年には400ppmに達している。わずか250年足らずで1.4倍に急増、この急激な二酸化炭素濃度上昇と連動するように地球の平均気温は上昇し、2017年時点で産業革命前より1℃上昇、2040年頃には、1.5℃程度の上昇になると言われている。
◆このまま温暖化が進行すると、極域にある巨大氷床の融解が進み、海面が今より10~60m上昇する可能性があり、仮に海面が60m上昇すると海岸線が真岡市付近まで来るなど、関東平野はその大部分が水没してしまう。
(参考文献:「地球46億年 気候大変動」横山祐典 著 講談社)


このように、二酸化炭素濃度の上昇に伴う地球温暖化は、産業革命以降、非常に短期間で進行し、海面上昇や気候変動等により、世界に危機的状況をもたらしつつあります。
近年の世界的な猛暑も、地球温暖化が原因である可能性が高いことが指摘されています。
このことについて、私たち大人はもちろんですが、未来を生きる生徒たちにも、自分自身の問題として意識してもらう必要があります。
本校では、各学年とも総合的な学習の時間に「SDGs」に関する調べ学習等に取り組んでいます。
今年度中には、生徒会が中心となって「東中SDGs宣言」を発出し、今自分たちができることを明らかにするととももに、問題解決に資する具体的な取組をスタートする予定です。
アメリカ先住民の言葉に、「地球は先祖から譲り受けたものではない。子孫から借りているものだ。」というものがあります。
私たちの子孫に、「奇跡の星・地球」を持続可能な状態で返せるよう、「東中SDGs宣言」とともに真岡東中は確かな一歩を踏み出します。