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田上教育長日誌
「分かる・できる・定着する」指導を
教師は毎日授業をしています。しかも、どのようにすれば子どもにとって分かる授業となるか、日々悩み工夫しながら授業をしています。「教師は授業で勝負する」とも言われています。では、こういったことから、教師の仕事は授業をすることなのでしょうか。
かつて教師になりたての頃、自分の授業づくりに生かせないかと思い、NHK教育テレビの数学講座をよく見たものです。ご存じのとおり、こういった講座は、授業構成のよさや洗練された説明、ポイントを押さえた板書、適切な時間配分などから、分かり易い授業になっています。ここでの講師は、まさに授業をすることが仕事だと言えます。つまり、分かり易い授業をするために、綿密に構想を練り確実に授業を行うことが仕事であって、視聴者である相手ができてもできなくても問題にはしません。
しかし、学校の教師はそうはいきません。どんなに子どもにとって分かり易い授業を行っても、分かっただけでは済まされないのです。教師は子どもが学習内容を、「分かる→できる→定着する」ところまで見届けなければなりません。なぜなら、教師は子どもに確かな学力を身に付けさせることが仕事だからです。もちろん、そのためには分かる授業は不可欠です。しかし、授業はあくまでも手段であって、授業を通して子どもに確かな学力を身に付けさせることが本分なのです。
さて、過日発表された全国学力・学習状況調査では、残念ながら本県の結果は芳しくありませんでした。アンケート調査を見ると、授業が「好き」「分かる」と回答した児童は全国平均より高いにもかかわらず、正答率は低いことが分かりました。このことに対して県では、「小学校の授業では特に丁寧に教えているので、その場では分かったつもりになっているのではないか」と答えております。本市においてもその傾向は同様です。
子どもの学力向上は、どこの学校でも取り組むべき重要課題だと思います。そして、これまで以上にその成果が問われています。そのためには、分かる授業から一歩進んで、「分かる・できる・定着する」指導を心がけていただきたいと思います。