日誌

田上教育長日誌

読書の秋 心の贅沢はいかが

  読書は知識を得ることはもちろん、想像力や言語力を培う上でも有効です。それに留まらず、本に親しみ本から受ける影響というのは計り知れないものがあります。体に栄養が必要なように頭や心にも栄養が必要です。そのためにも読書は欠かすことができません。
  本市では読書活動の充実に力を入れています。今年度から専任司書を5人に増員し、市内全小学校に巡回で配置しています。また、各小中学校では朝の一斉読書を行っています。僅かの時間ですが、子供たちは自分の好きな本を用意し、しばし本の世界に浸っています。
  ところで、このとき担任の先生は何をすべきでしょうか。試験監督と同じように、子供の読書の様子を監視することでしょうか。もちろん、読書と全く違ったことをしたり、他に迷惑をかけたりするような子供がいれば、注意しなければなりません。しかし、それが常時ということはないと思います。中には、生活ノートを見たり、家庭学習帳を見たりしている教師もいます。毎日忙しいですから、こういった僅かな時間を利用して、これらのノートを見なければならないのも分かります。ですが、読書の時間は、やはり教師も読書をすべきなのです。なぜなら、子供を読書好きするには、教師自らも読書好きになって、大いに読書のよさを語らなければならないからです。そのためには、本を読むのは当たり前であって、一斉読書の時間に教師が読書をしないで、読書のよさなど語れるはずがないと思います。また、たとえ語ったとしても、子供が受け入れてくれるわけありません。
   北海道大学大学院教授の橋本努氏は、「読書は溺れてみないとその効果は分からない。読書の意味を疑う人は、人生の豊かさを逃してしまうかもしれない」と言っています。教師自らが人生の豊かさを享受する上でも、読書は重要なのです。そのためには、一斉読書の時間はもちろん、寸暇を惜しんで本を読んでみるのもいいものです。
  また、心への栄養は子供だけでなく大人も必要です。現代人の口癖は「忙しい」だそうですが、忙しいとは「心を亡くす」と書きます。教師も忙しく、余裕のない毎日を送っていますので、心を亡くしてしまっては困ります。だからこそ、心の栄養が求められますし、読書がそれを満たしてくれると思います。
  今まさに秋本番、読書の秋を迎えています。10月27日からは秋の読書週間も始まります。秋の夜長、虫の音(ね)を聞きながら好きな本を思いっきり読むという、心の贅沢はいかがでしょうか。