日誌

田上教育長日誌

起こったこと全てに原因がある

 かつてベストセラーとなった『原因と結果の法則』(ジェームズ・アレン著)では、ものごと全てに「原因」があるから「結果」があることを説いています。つまり、身の回りで起こったこと全てに必ず原因があるということです。ですから、何か問題が発生した場合に、その原因を明らかにしない限り問題の根本的解決にはなりません。
 例えば、日本の新幹線や航空機が他国に比べて極めて安全性が高いのは、問題発生の原因を徹底的に究明してきた結果といえます。これに対して、依然としていじめの問題が後を絶たないのは、原因究明にどこか問題があるからではないでしょうか。
  いじめの問題は、これまで研究者や学校関係者等が再三再四に渡り原因究明に取り組んできました。しかし、悲惨ないじめは繰り返し発生し深刻化しています。なぜでしょうか。
 いじめの問題を考えるには、学校はもちろんですが、被害者、加害者、保護者など、いくつかの側面があります。にもかかわらず、ひとたびいじめの問題が発生すると、一方的に学校ばかりが責め立てられ、学校は終始責任の追及に晒(さら)されます。当然、発見の遅れや対応の不適切さ等があれば、学校の責任は免れません。しかし、それだけでは原因の究明にはなりません。被害者、加害者、学校、保護者など、いじめの発生に関わるあらゆる側面から徹底的に原因を追究しなければならないのです。
 学校では、いじめの問題に限らず、大小さまざまな問題が発生します。生徒指導上の問題だけでなく、学力向上等の教育課程上の問題もあります。こういった問題を解決するためには、なぜ起こったのか、どうしてそうなったのかなど、それらが起こった原因を明らかにすることが大切です。しかし、問題が発生すると、どうしても対症療法的な対応になってしまい、再発が繰り返されるということが多々あります。そうならないためにも、「起こったこと全てに原因がある」という認識のもと、徹底した原因究明が必要なのです。