2022年11月の記事一覧
COP27閉幕、残された課題(校長室より)
一昨日、11月20日(日)に、予定の会期を2日間延長した「COP27」が閉幕しました。
COPは、「Conference of the Parties」の略で、日本語では「国連気候変動枠組条約の締約国会議」と呼ばれています。
今回はエジプトで開催されましたが、第27回目の会議であることから「COP27(コップ27)」と略されています。
気候変動により生じた発展途上国の「損失と被害」に対する支援基金を創設することで合意しましたが、採択文書には温室効果ガス削減対策を加速させるための具体的な数値目標や化石燃料の廃止につながる内容は盛り込まれず、世界的に気候危機が顕在化する中で開催された会議は重い課題を残したままとなりました。
日本は、3大会連続で「化石賞」を受賞するという不名誉な記録を作ってしまいました。
「化石賞」とは、環境NGO「CAN」が、気候変動対策に対して足を引っ張った国に与える賞のことで、気候変動への取り組みが後退していることを「化石」と表現して皮肉ったもので、受賞すること自体とても不名誉なことです。
理由は、日本が化石燃料に対する世界最大の公的資金を拠出している国だからです。
2015年にパリで開かれた「COP21」で、「世界の平均気温上昇を2030年までに産業革命以前に比べて、2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える」という目標が採択されました。
これは「パリ協定」としてよく知られています。
しかし、現在の平均気温は、産業革命前に比べて「1.15℃」まで上昇しており、地球温暖化が加速しています。
実際に、スイスの氷河の体積は2021~2022年で3分の1以上が失われ、海面は1㎝も上昇しています。
地球温暖化が進むと、干ばつや大雨などの異常気象の頻度が高まり、実際、東アフリカでは今年、過去40年で最悪の干ばつが発生、パキスタンでは国土の3分の1が冠水する大洪水が起きました。
地球温暖化に関しては、待ったなしの状況です。
国家間の枠組みづくりはもちろん大切ですが、一人一人の心掛けも同様に重要となります。
本校では、「西中SDGs宣言」を発出し、環境問題に関する一人一人の取組を加速していきます。
おめでとうございます。(校長室より)
本日、11月15日(火)に真岡市教育祭と芳賀郡市教育祭が開催されました。
本校からも真岡市教育祭で3名の生徒が、そして芳賀郡市教育祭で1名の生徒が、日頃の努力が認められ、栄えある受賞となりました。
また、学校歯科医様、PTA会長様、本校教職員も受賞されました。
本当におめでとうございます。
西輝が丘祭などの大きな行事を通して、各学年とも大きく成長していますが、西中の主役は、やっぱり3年生です。
卒業まで4か月を切りましたが、誉れ高き賞をいただいた4名を中心に西中を大いに盛り上げてほしいと思います。
3年生の、更なる活躍を期待しています。
頑張ってください。
11月校長講話「ハンセン病患者及び元患者の問題について」(校長室より)
本日、11月の校長講話を行いました。
感染防止対策のために、今回も校長室からのオンライン配信の形で行いました。
一刻も早くコロナ禍が収束し、全校生徒が一堂に会することができる「当たり前の日常」が戻ってくることを、切に願っています。
講話の前半は、西輝が丘祭の成功や運動・文化面での活躍などを振り返り、更なる飛躍をお願いしました。
後半は、1か月後に迫った「人権週間」に向けて、様々な人権問題の中から「ハンセン病患者及び元患者」の話を取り上げ意識づけを図りました。主な内容は以下の通りです。
来月12月4日(日)から10日(土)までの1週間は、人権週間である。
1948年(昭和23年)12月10日の国連総会で、「すべての人間は生まれながらにして自由であり、尊厳と権利とについて平等であること」などを示した「世界人権宣言」が採択され、そのことを記念して、日本では12月10日を最終日とする1週間を人権週間と定め、人権尊重思想の普及高揚に努めてきた。
しかし、現在も依然として多くの人権問題があり、偏見や差別に苦しんでいる人が大勢いる。
今回は、様々な人権問題の中から「ハンセン病患者及び元患者」の問題を取り上げる。
【ハンセン病について】
ハンセン病は、らい菌という細菌による感染症で、治療法がなかった時代には、病気の進行により運動麻痺や知覚麻痺、視覚障害、体の一部の変形などの症状が出ることがあった。
しかし、現在では治療法も確立し、早期発見と適切な治療により後遺症も残らない。
【ハンセン病への偏見や差別】
医療や病気への理解が乏しい時代には、その外見や感染への恐怖心などから、ハンセン病患者への過剰な偏見や差別があった。
しかし、現在でも、ハンセン病に対する正しい知識と理解はいまだ十分とは言えず、ハンセン病の患者・元患者やその家族が、周囲の人々の誤った知識や偏見等によって、日常生活、職場、医療現場等で差別やプライバシー侵害等を受けている。
【ハンセン病の悲しい歴史】
19世紀後半、ハンセン病はコレラやペストなどと同じようにとても恐ろしい伝染病であると考えられていた。
1931年(昭和6年)に全てのハンセン病患者の隔離を目指した「癩(らい)予防法」が成立し、国を挙げての隔離政策が進められた。
いったん療養所に入所すると一生そこから出られないだけでなく、遺骨すらも実家のお墓に入ることがかなわず、療養所の納骨堂に納められた。
その後、医学の発展に伴い1946年(昭和21年)には特効薬も完成し、ハンセン病は治る病気となったにも関わらず、1953年(昭和28年)に新たな「らい予防法」が定められ、患者の強制収容が続けられた。
国の誤った強制隔離政策である「らい予防法」は、1996年にようやく廃止された。
しかし、療養所から自由に出られるようになっても、入所時に家族に迷惑が及ぶことを心配して本名や戸籍を捨てたことや、根強く残る偏見や差別などにより、故郷に帰れない人が数多くいる。
人権は、だれにとっても身近で大切なものであり、必ず守られるべきものである。
しかし、私たちの心の中には、自分とは違う一面を持つ人を差別する気持ちが入り込んでくることがあり、その弱い気持ちに負けないためには、人権感覚を磨き続けなければならない。
自分の心に偏見の芽はないか、みんなと違うという理由だけで排除や差別をしていないか、弱い立場の人をいじめていないかなど、常に自分自身を厳しく見つめることが大切である。
世界大戦など20世紀までの反省の上に立ち、21世紀を全ての人の人権が尊重され、幸福が実現する時代にしたいとの願いを込めて「21世紀は『人権の世紀』である」とされてきた。
しかし、国家間の戦争や繰り返されるテロ、未だに解決されない様々な人権問題など、人権の世紀が実現したとは言い難い現状がある。
我々大人はもちろん、これから21世紀を支えていく皆さんも一緒になって人権感覚を磨き、21世紀を全ての人の人権が尊重され、幸福が実現する時代にしていこう。
県駅伝競走大会 -西中魂でつないだたすきー(校長室より)
先週5日(土)に、那須野が原公園で県駅伝競走大会が開催されました。
本校からは、厳しい予選を勝ち抜いた女子が万全の状態で出場しました。
結果は18位と入賞はなりませんでしたが、多くの選手が自己ベストを更新し、合計タイムも昨年を大きく上回りまわるなど、大健闘でした。
みんなの思いがこもったたすきをつなごうと、必死で前を追う姿に感動しました。
3年生だけで構成された5人のチームのまとまりは、参加30チームの中でNo.1だったと思います。
長距離の練習は本当にきついものがあり、今まで困難の連続だったと思いますが、よく頑張りました。
地区大会、県大会と「西中魂」で体現してくれた選手の皆さんに心から拍手を送りたいと思います。
そして、今回の経験を飛躍へのステップにしてください。
また、今回スタッフとしてチームを支えてくれた1・2年生、お疲れさまでした。
いよいよ来年は君たちの番です。
先輩からのたすきをしっかりと引継ぎ、更なる飛躍を期待しています。
誰もが輝ける未来へ(校長室より)
国内最大の障害者スポーツの祭典、第22回全国障害者スポーツ大会「いちご一会とちぎ大会」が、10月31日に幕を下ろしました。
私は、29・30日の2日間、卓球競技(STT含む)のお手伝いに行ってきました。
自身の競技経験や部活動指導などで長く卓球に関わってきましたが、障害者の方の卓球は拝見する機会がなく、今回が初めてとなりました。
競技は、表彰区分、障害区分、年齢区分によって細かく分けれており、おおむね3・4人のリーグ戦で優勝を争う形式でした。
視覚障害者のためのSTT(サウンドテーブルテニス)は、音が出るボールを転がして勝敗を競う競技ですが、余計な音が入らないよう1部屋に1台だけ台を置き、観客はモニターで観戦するという方法でした。
どの試合も健常者の大会と変わらない熱戦が繰り広げられるなど、今大会にかける選手の熱い意気込みを感じました。
応援にも相当熱が入っていましたが、1か月前に行われた国体会場との一番の違いは、応援する方々のまなざしに慈愛に満ちた温かさが感じられたことです。
障害に負けず必死のプレーを続ける選手たち、それを優しくも叱咤激励する家族・関係者等の応援、すばらしい光景でした。
障害の有無に関わらず誰もが活躍できる「共生社会」の実現を掲げた今大会ですが、その達成のためには障害者本人及び家族・支援団体等の関係者のみの努力では限界があります。
障害をもたない人を含め、全ての人々が共に生きる社会を本気で目指すことが何よりも重要となります。
そのために、まず何らかの行動を起こすことが大切です。
今大会では多くのボランティアの方々が運営を支えていましたが、その方々自身、きっと大きな気付きがあったことと思います。
私もその一人です。
「愛の反対は憎しみではない。無関心だ。」マザー・テレサ
子供たちの教育に携わる一人として、今後も共生社会・「誰もが輝ける未来」の実現に向けて、全力を尽くそうと思います。