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2022年6月の記事一覧

臆病な自尊心

中島敦の小説「山月記」には、かつて人間であり、詩人になろうとしてなれず、その妄執から虎に変身した男が描かれています。

虎になった男は、旅人としてその地を通りかかった昔の友人と出会い、虎になるまでの身の上を語ります。
その中に、「臆病な自尊心」という言葉が出てきます。
「自分は、詩によって名を成そうと思いながら、師について勉強することもせず、志を同じくする友人と切磋琢磨することもしなかった。わざと努力を怠ったのは、自分に詩の才能がないことを自覚するのが怖かったからであり、つまりは『臆病な自尊心』のせいである。」と。

程度の差はあるかもしれませんが、誰の心にも「臆病な自尊心」はあります。
全力を尽くして失敗したり、敗北したりすると、自分があまりにもみじめで救いがたいからです。
そこで、「まだ本気出していないから、失敗したってどうってことないもんね。」と、言い訳を先に用意してしまいます。
果たして、これで本当によいのでしょうか。
山月記の虎になった男と同じように、きっと「後悔」することでしょう。

明後日から、いよいよ期末テストです。
初めての定期テストを受ける1年生はもちろん、2・3年生も、「臆病な自尊心」に負けず、全力で努力した上で、テストに臨んでほしいと思います。
がんばれ、西中生!

6月15日は県民の日(校長室より)

本日、校長講話を行いました。
前半は、写真を見せながら、春季各種大会やスポーツフェスティバルの振り返りを行い、一層の活躍をお願いしました。
後半は、「県民の日」の話をしました。主な内容は、以下のとおりです。


今日6月15日は「県民の日」です。栃木県のホームページによると、「県民一人ひとりが、郷土を見直し、理解と関心を深め、県民としての一体感と自治の意識をはぐくみ、より豊かな栃木県を築きあげることを期する日」として制定された。明治6年(1873年)に栃木県と宇都宮県が合併し、おおむね現在と同じ県域の栃木県が成立した日である6月15日を県民の日とした。

栃木県のシンボル
県章

県木「トチノキ」

県獣「カモシカ」

県花「ヤシオツツジ」

県鳥「オオルリ

皆が生きるこれからの時代は、グローバル化が一層進展し、国境を越えた様々な交流が当たり前のように行われる。
そのような時代だからこそ、自分が生まれたふるさとのことをしっかりと知り、そのよさを実感し、自己がよって立つ基盤にしっかりと根を下ろすことが大切だと思う。
今日の昼の校内放送では、県民の歌を流す予定である。県民の日にちなんだ給食を食べながら、この校長講話と併せて郷土愛を深めるよい機会としてほしい。


生徒の皆さん、栃木県とともに成長・発展していきましょう!

梅雨入りしました。(校長室より)

本日、関東甲信地方が梅雨入りしました。
今も昔も、日本人は、季節に寄り添いながら暮らしています。
日本以外にも四季のある国はたくさんありますが、ことさら日本人の季節感は称賛されます。
それは、幼いころから自然に親しみ、繊細な感覚を身に付け、季節を愉しむすべを会得しているからだと思います。
梅雨にまつわる俳句をいくつか紹介します。

五月雨を あつめて早し 最上川  松尾芭蕉
降り続く五月雨(さみだれ)を一つに集めたような、最上川の流れの早さやすさまじさが伝わってきます。

さみだれや 青柴積める 軒の下  芥川龍之介
軒の下に集めた柴が五月雨で湿ってしまった様子から、山里の梅雨の風景とそこに暮らす人の質素な生活が描かれています。

紫陽花や 昨日の誠 今日の嘘  正岡子規
紫陽花(あじさい)が色を変えていく様子と人の心がうつろいでいく様子が似ていることを表しています。

国際化、グローバル化が加速するこれからの時代だからこそ、日本のよさを感じ、日本人としての自覚を深め、自己がよって立つ基盤にしっかりと根を下ろすことが重要になると思います。
ちなみに今日は、二十四節気の一つ「芒種(ぼうしゅ)」です。麦などの芒(穀類の堅い毛)のある穀物の種をまく頃を指します。