校長室より
前へ(校長室より No.43)
先週、19日(金)に第1学期終業式を行いました。
私の式辞では、各学年なりの1学期間の成長を確認するとともに、郡市・県総体等での活躍を称えました。
そして、夏休みの心構えとして「前へ」という言葉を紹介しました。
その概要は、以下のとおりです。
自分を大きく伸ばすチャンスである夏休みを迎える皆に、その心構えとして「前へ」という言葉を贈る。
この言葉は、長きにわたって明治大学ラグビー部の監督を務めた北島忠治(ちゅうじ)氏が唱えたスローガンである。
この上なくシンプルだが、勇気を与えてくれる力強い言葉だと思う。
北島監督は28歳のときに明治大学ラグビー部の監督になり、95歳で亡くなるまで現役の監督で居続けた。
67年もの監督生活の中で、選手たちに言い続けたことはただ一つ、「前へ」だったのだ。
細かい戦略を言うのではなく、スパルタでしごくのでもなく、「前へ」の精神で、弱小だった明治大学ラグビー部を日本一にまで押し上げた。
「前へ」というスローガンは、勝ち負けよりも前へ進むことを重んじる精神を示している。
もちろん試合において勝つことは重要だが、それ以上に、困難な状況でも逃げずに前へ進んで乗り越えていく生き方を学んでほしいという北島監督の思いがあった。
これが明大の明解なラグビースタイルとなり、たとえば「横へパスを回せばトライできる」ようなシーンでも、絶対に前に押すようになった。
それで負けることがあっても、これはもう精神として明治大学ラグビー部に根付いていった。
ラグビーだけでなく人生においても、困難なことに出会ったりしたときに、もちろん横へ逃げる方法もある。
しかし、迷ったらとにかく「前へ」の精神で踏み込んでいくことが大切で、信じて進むと、自然と道は拓けてくる。
皆が生きるこれからの時代は、人工知能の急速な進化などにより、予測困難な変化の激しい時代になる。
だからこそ、あれこれ迷っているよりは「前へ」踏み出してほしい。
一歩が無理なら半歩でもいいから、とにかく踏み出すことが大切だ。
勇気をもって踏み出せば、必ず景色が変わる。
いよいよ明日から夏休み。
長い休みは、自分を変える良いきっかけでもある。
東中伝統の「心意気」と共に、皆の一人一人が勇気を持って「前へ」踏み出してくれることを信じている。
2学期の始業式には、新しい景色に触れ、一段とたくましくなった皆と再会することを楽しみにしている。
例年、夏休みには水難事故が発生し、尊い命が失われます。
終業式終了後には、生徒指導主事から、川では絶対に泳がないことや海の離岸流の危険性について、具体例を挙げて注意喚起してもらいました。
約束も守り、安全な生活を心掛けましょう。
また、自分一人では快活できない悩みがあったら、必ず学校やしおりに載っている相談機関に電話をしてください。
9月2日(月)、元気な生徒の皆さんとの再会を楽しみにしています。
『「前へ」明治大学ラグビー部 受け継がれゆく北島忠治の魂』明治大学ラグビー部著、カンゼン出版社