校長室から

校長室から

卒業式式辞

 弥生の風が暖かさを増し、草木の新芽が萌え出ずる頃となりました。このよき日に、学校評議員様の御臨席を賜り、令和6年度、卒業式が挙行できますことを、心から感謝申し上げます。
 さて、31名の卒業生の皆さん、そして保護者の皆様、御卒業おめでとうございます。先ほど、一人一人に卒業証書をお渡ししましたが、担任の先生の、万感の思いを込めた呼名に、大きな声で、応えた返事には、本校での生活を頑張り抜いた満足感と、これから歩む、新しい道への強い決意が感じられました。皆さんは、本校のよき伝統を守り、さらに新たな物部中を創造すべく、何事にも一生懸命に取り組んで来られました。その足跡を振り返り、皆さんのさわやかな笑顔、真剣な眼差しを思い浮かべるたびに、数々の感動がこみ上げてきます。

 5月27日から29日の二泊三日で、京都・奈良への修学旅行。私自身は久しぶりの修学旅行となりましたが、皆さんと楽しい思い出を作ることができました。特に2日目は雨に見舞われて大変でしたが、全員元気に茶道体験に集合してくる様子が印象に残っています。

 夏場、野球部、サッカー部、卓球部、引退のかかった試合に最後まで諦めずに臨んでいる姿が印象的でした。吹奏楽部も更に上を目指し、心を一つに演奏している姿にも心を打たれました。また、特設陸上競技部や駅伝部でも全力で臨む姿に感動しました。特設合唱部は、平成22年以来の中央祭出場を果たしました。三年生のリーダーシップのお陰だと思います。

 9月7日の運動会。紅白に分かれそれぞれの組が趣向を凝らした応援合戦。「君の縄」(綱引き)では、力強さを、「一心同体2024」(全員リレー)では、頼もしさを感じさせてくれました。暑い中でしたが、三年生の働きのお陰で大成功に終わりました。
 11月2日の桜町祭。今回は、とちおとめホールで行われました。合唱コンクールの曲目「虹」は、心を一つにしたハーモニーで素晴らしかったです。個人発表部門でも、ダンスや演奏をはじめ、中心として盛り上げてくれました。素晴らしく楽しい学校祭でした。
 仲間と共に過ごし、一歩ずつ成長していく皆さんの姿は、互いに助け合い、一致団結して目標に向かって努力する姿が深く心に残っています。
 今年の物部中学校は、「知・徳・体」それぞれの分野で栃木県から表彰を受けることができました。それは、一重に三年生の努力のたまものです。

 私は名前にも「道」が付くように、「道」という言葉がとても好きです。これから、みなさんはそれぞれの「道」に向かって新たな第一歩を踏み出していきます。
「この道を行けばどうなるものかと危ぶむなかれ。危ぶめば道はなし。踏み出せばその一足が道となり、その一足が道である。わからなくても、歩いて行け、行けばわかるよ。」プロレスラーアントニオ猪木さんの言葉として有名ですが、実は「清沢哲夫」さんというお坊さんが作った詩からの引用です。「不安に思うけれど新しい一歩を踏み出せよ。その一歩が道となる。」自分自身で進んでいくことの大切さを教えてくれている詩だと思います。
 中学校を卒業し、仲の良かった友達とも別れ、新たな環境に進んでいきます。期待だけではなく、不安が募ることも多いことだろうと思います。その先、この生まれ育った物部の地で生きる人もいれば、離れて暮らすようになる人もいるでしょう。長い人生、楽しいことばかりではなく、ときには困難にぶつかることもあります。困難に負けずにしっかりと立ち向かうためには、心のよりどころが必要です。そのよりどころとなるのは、やはりふるさとです。ふるさとには、皆さんを慈しみ育ててくれた保護者の方々がいます。心を許しあった、友がいます。そして、受け継がれてきた先人の教えがあります。くじけそうになったとき、物部中学校の「積小為大」の言葉を思い出し、新しい一歩を踏み出し、これから自分の足で未来を切り拓いていってください。

 また、いつも温かく見守り、応援してくれる家族、友人、地域の方、先生方などに感謝の心を忘れず、やがて社会に出たときに、常に全力で挑戦する人生を歩み、これからの物部地区、そして日本、さらには世界に貢献する人になることを心から願っています。

 保護者の皆様に一言お祝いを申し上げます。お子様の御卒業、誠におめでとうございます。立派に成長したお子様の姿を目にし、感無量のことと思います。お子様のために、費やした全てが実を結び、本日ここに、立派に御卒業の日を迎えられましたことを、心よりお慶び申し上げます。また、この三年間、本校教育に対する格別の御理解と御協力を賜り、改めて御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
 なごりは尽きませんが、本校を巣立っていく31名の皆さん、一人一人の洋々たる前途を祈念しまして、式辞といたします。

    令和7年3月10日

                        真岡市立物部中学校長 栁 利道

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