校長室から
令和7年度 入学式式辞
先週は雨の日が続いた中、桜の花は散ることなく満開となり、まるで新入生の皆さんの入学をお祝いしているかのようです。この良き日に、令和七年度物部中学校入学式を挙行できますことを、心から感謝申し上げます。
さて、伝統ある物部中学校に入学された三十七名の新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。皆さんが入学されるのを在校生、職員一同心待ちにしていました。
先ほどの新入生呼名の元気ある返事に、これから始まる中学校生活三年間への意気込みが感じられ、たいへん嬉しく思いました。
新入生の皆さんは、本日より物部中学校の生徒となりました。私たちは皆さんが充実した中学校生活が送れるよう、全力で応援しますので、どうぞ安心して中学校生活をスタートさせてください。
中学校三年間は、長い人生の中では、ほんの短い期間ですが、心も身体ももっとも成長する大切な時期です。この三年間で学んだことが大人になってからの生活の基盤となります。
本校は、二宮尊徳先生の教えが、今なお息づくこの地で、その教えを校訓にして教育しております。
三年間のスタートである入学にあたり、新入生の皆さんに校訓の話をします。物部中学校の校訓は「まこと」です。そして、その下に、「至誠」「勤労」「分度」「推譲」の四つの項目があります。その中の「至誠」と「勤労」の二つの話を、歓迎と期待の言葉といたします。
一つめの「至誠」についてです。至誠とは、「まごころ」のことです。相手を思う、うそのない本当の気持ちです。中学校の三年間でたくさんの人と関わることでしょう。中学校でこれから出会う新しい先生たち、小学校の時よりも成長している先輩たち、部活動で出会う他校の生徒たち。小学校の時よりもそれぞれが成長しているので、人間関係が難しくなることもあるでしょう。そのようなときに、相手を思う、うそのない本当の心、「まごころ」をもってつきあえば、人から信用され、慕われ、当てにされ、頼られることでしょう。中学校の三年間は、人のために尽くせる自分をつくるために、また、人から信頼される自分をつくるために、「まごころ」を育む期間であると言ってよいと思います。お互いが信頼という絆で結ばれた学年を創ってください。
二つめの「勤労」についてです。勤労とは、ただ一生懸命働く、勉強するという意味だけではありません。社会に役立つ成果をめざして働く、勉強するという意味もあります。これからの三年間の学習、生徒会活動、部活動を通して、世の中に出たときに社会に貢献できる能力を身につけてください。これからの時代は、先が見えにくい世の中と言われています。そのとき頼れるのは知識・知恵です。この三年間でしっかり勉強してください。先生から教えられた知識を覚えるだけでなく、それらを活用して、新たな知恵を生み出せるように、友達と議論し合い、深く学ぶ習慣をつけてください。そして、自分のことをよく理解し、人間関係を作り、楽しい学校生活を送れるようにしてほしいと思います。
保護者の皆様、改めてお子様のご入学、誠におめでとうございます。本日より、本校教職員で未来を担う子供たちを、責任をもってお預かりします。保護者の皆様方におかれましては、本校の教育にご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
結びに、新入生の皆さんが二宮尊徳先生の「積小為大」の言葉を胸に、中学校三年間で大きく成長することを期待し、式辞といたします。
令和7年4月8日
真岡市立物部中学校長 栁 利道
令和7年度 第1学期始業式あいさつ
いよいよ今日から令和7年度第1学期が始まります。新2・3年生の皆さん、進級おめでとうございます。
さて、皆さんは学年ずつ進級されました。
まず、3年生。いよいよ物部中の最高学年になりました。学校の代表は3年生です。3年生の行いが、学校の雰囲気を作っていきます。ですから、勉強はもちろんのこと、生徒会や部活動など何事においても、伝統ある物部中学校を引っ張っていってください。特に、運動会や桜町祭など大きな行事での活躍を期待しています。後輩から頼りにされる3年生、常に向上心をもって何事頑張る3年生、そんな姿を目指してほしいと思います。
次に、2年生。この後の入学式で37名の新1年生を迎え、いよいよ先輩と言われる立場になります。新1年生は、まずは2年生を手本とし、様々なことをまねします。2年生の行いが、1年生の方向性を決めていきます。だから、昨年までと比較して、より大きな責任があります。新1年生が安心して中学校生活をスタートできるよう、そして3年生をしっかりサポートできるよう中堅学年として、物部中をしっかりと支えてほしいと思います。
「今こそ出発点」 尾関 宗園(僧侶)
「人生とは 毎日が訓練である
わたくし自身の 訓練の場である
失敗もできる 訓練の場である
生きていることを喜ぶ 訓練の場である
今 この幸せを喜ぶことなく
いつ どこで 幸せになれるか
この喜びをもとに 全力で進めよう
わたし自身の将来は 今 この瞬間にある
いま ここでがんばらずに いつ がんばる」
毎日が出発点だと思って、その日一日に全力を尽くそう。たとえ新たな困難が襲ってきたとしても、一日一日気持ちを切り替えて、再出発しよう。毎日新たな気持ちで出発することを繰り返せば、その積み重ねが前進につながる。という意味です。
皆さんには、何事にも全力で取り組んでほしいと思います。一日一日を大切にし、新たな気持ちで取り組めば、絶対に成長に繋がります。ぜひ、今年は全力でやりきったと言える年にしてください。
第3学期終業式式辞
令和6年度も修了式を迎えることになりました。先ほど1・2年生それぞれの代表に、修了証書を授与しました。1年生23名、2年生29名が、その学年で学ぶべきことを全て修了した証です。これをもって皆さんは、それぞれの学年を修了しました。4月から一つ上の学年に進級します。
もちろん進級は、皆さん自身が努力した結果のたまものですが、それだけでなく、保護者や地域の方々、先生方、そして友達の支えがあったからです。ぜひ、感謝の気持ちを伝えてほしいと思います。また、感謝するのは人にだけでなく、教科書やノート、部活動の用具、楽器など、自分を成長させてくれた物にも感謝の気持ちを表すことが大切です。これからも自分と共に歩み、自分の成長を手助けしてくれる大切な物です。これからも大切にしてください。
さて、2年生は、4月から3年生です。物部中学校の顔であり、一人一人がリーダーです。3月10日に卒業生は伝統を残して旅立ちました。皆さん一人一人が思い描く未来が、どのように新たな物部中学校の伝統を作り上げていくかを楽しみにしています。
1年生は、4月から2年生になり新1年生を迎えます。新1年生の手本となるのは2年生です。この1年間をじっくりと振り返り、新1年生が安心できるようなアドバイスをお願いします。また、中堅学年として、3年生をしっかりとサポートし、物部中を支える存在になってください。よろしくお願いします。
絵本作家の中川ひろたかさんの詩で、「おおきくなるっていうことは」という詩があります。
「おおきくなるっていうことは
ようふくが ちいさくなるっていうこと。
おおきくなるっていうことは
あたらしいはが はえてくるってこと。
おおきくなるっていうことは
みずにかおをながく つけられるってこと。
おおきくなるっていうことは
じぶんより ちいさいひとがおおくなるってこと。
おおきくなるっていうことは
ちいさなひとに やさしくなれるってこと。
おおきくなるっていうことは
そういうこと」
自分が成長すると同時に、友達も後輩も成長していきます。それは、身体だけではなく心も成長するということを意味します。大きくなった心で、友達や後輩に接して、頼りがいのある先輩となってください。よろしくおねがいします。
最後に、令和7年度は、皆さんが生き生きと活気あふれる学校生活を送れることを祈念して、修了式の話とします。
卒業式式辞
弥生の風が暖かさを増し、草木の新芽が萌え出ずる頃となりました。このよき日に、学校評議員様の御臨席を賜り、令和6年度、卒業式が挙行できますことを、心から感謝申し上げます。
さて、31名の卒業生の皆さん、そして保護者の皆様、御卒業おめでとうございます。先ほど、一人一人に卒業証書をお渡ししましたが、担任の先生の、万感の思いを込めた呼名に、大きな声で、応えた返事には、本校での生活を頑張り抜いた満足感と、これから歩む、新しい道への強い決意が感じられました。皆さんは、本校のよき伝統を守り、さらに新たな物部中を創造すべく、何事にも一生懸命に取り組んで来られました。その足跡を振り返り、皆さんのさわやかな笑顔、真剣な眼差しを思い浮かべるたびに、数々の感動がこみ上げてきます。
5月27日から29日の二泊三日で、京都・奈良への修学旅行。私自身は久しぶりの修学旅行となりましたが、皆さんと楽しい思い出を作ることができました。特に2日目は雨に見舞われて大変でしたが、全員元気に茶道体験に集合してくる様子が印象に残っています。
夏場、野球部、サッカー部、卓球部、引退のかかった試合に最後まで諦めずに臨んでいる姿が印象的でした。吹奏楽部も更に上を目指し、心を一つに演奏している姿にも心を打たれました。また、特設陸上競技部や駅伝部でも全力で臨む姿に感動しました。特設合唱部は、平成22年以来の中央祭出場を果たしました。三年生のリーダーシップのお陰だと思います。
9月7日の運動会。紅白に分かれそれぞれの組が趣向を凝らした応援合戦。「君の縄」(綱引き)では、力強さを、「一心同体2024」(全員リレー)では、頼もしさを感じさせてくれました。暑い中でしたが、三年生の働きのお陰で大成功に終わりました。
11月2日の桜町祭。今回は、とちおとめホールで行われました。合唱コンクールの曲目「虹」は、心を一つにしたハーモニーで素晴らしかったです。個人発表部門でも、ダンスや演奏をはじめ、中心として盛り上げてくれました。素晴らしく楽しい学校祭でした。
仲間と共に過ごし、一歩ずつ成長していく皆さんの姿は、互いに助け合い、一致団結して目標に向かって努力する姿が深く心に残っています。
今年の物部中学校は、「知・徳・体」それぞれの分野で栃木県から表彰を受けることができました。それは、一重に三年生の努力のたまものです。
私は名前にも「道」が付くように、「道」という言葉がとても好きです。これから、みなさんはそれぞれの「道」に向かって新たな第一歩を踏み出していきます。
「この道を行けばどうなるものかと危ぶむなかれ。危ぶめば道はなし。踏み出せばその一足が道となり、その一足が道である。わからなくても、歩いて行け、行けばわかるよ。」プロレスラーアントニオ猪木さんの言葉として有名ですが、実は「清沢哲夫」さんというお坊さんが作った詩からの引用です。「不安に思うけれど新しい一歩を踏み出せよ。その一歩が道となる。」自分自身で進んでいくことの大切さを教えてくれている詩だと思います。
中学校を卒業し、仲の良かった友達とも別れ、新たな環境に進んでいきます。期待だけではなく、不安が募ることも多いことだろうと思います。その先、この生まれ育った物部の地で生きる人もいれば、離れて暮らすようになる人もいるでしょう。長い人生、楽しいことばかりではなく、ときには困難にぶつかることもあります。困難に負けずにしっかりと立ち向かうためには、心のよりどころが必要です。そのよりどころとなるのは、やはりふるさとです。ふるさとには、皆さんを慈しみ育ててくれた保護者の方々がいます。心を許しあった、友がいます。そして、受け継がれてきた先人の教えがあります。くじけそうになったとき、物部中学校の「積小為大」の言葉を思い出し、新しい一歩を踏み出し、これから自分の足で未来を切り拓いていってください。
また、いつも温かく見守り、応援してくれる家族、友人、地域の方、先生方などに感謝の心を忘れず、やがて社会に出たときに、常に全力で挑戦する人生を歩み、これからの物部地区、そして日本、さらには世界に貢献する人になることを心から願っています。
保護者の皆様に一言お祝いを申し上げます。お子様の御卒業、誠におめでとうございます。立派に成長したお子様の姿を目にし、感無量のことと思います。お子様のために、費やした全てが実を結び、本日ここに、立派に御卒業の日を迎えられましたことを、心よりお慶び申し上げます。また、この三年間、本校教育に対する格別の御理解と御協力を賜り、改めて御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
なごりは尽きませんが、本校を巣立っていく31名の皆さん、一人一人の洋々たる前途を祈念しまして、式辞といたします。
令和7年3月10日
真岡市立物部中学校長 栁 利道
立志式式辞
本日は、学校評議員様、PTA会長様の御臨席を賜り、令和6年度立志式が挙行できますこと、心より感謝申し上げます。
さて、立志を迎えた2年生29名の皆さん、本日は誠におめでとうございます。立志式は古来の「元服」現在で言う成人式にならい、15歳を迎える前の中学2年生の時期に「志」を立て、自分の将来に向けて目標を立てる機会です。
先ほど一人一人が堂々と「誓いのことば」を発表してくれました。その様子からは、将来の夢や目標の実現に向かって努力しようとする、強い決意が感じられました。是非、自分の描いた将来像に向かって、新たな一歩を力強く踏み出してほしいと思います。
さて、成人と言われても、昔と今は時代が違うと思う人もいると思いますが、別な視点で現代の14歳を見てみてみると、法律的にも13歳までとは違う大人扱いということです。ですから自分の言動に責任がもてるよう、心、体、頭を鍛えて行くことが大切な年となります。
「志を立て 今日を励まん 今日を学ばん」と言う言葉があります。
「志を立て」とは…将来に向けて夢をもつこと、つまり幸せな人生を送るため大きな目標を持とう。
「今日を励まん 今日を学ばん」…その日その日を一所懸命に励もう、一所懸命に学ぼう。
と呼びかけている言葉です。少し優しく言うと、次のようなことです。「人生の先を考えるようにしよう。ちょっと先にいる自分を想像してみよう。ちょっと先とは、明日、1年後、高校生、10年後、どんな自分になっていたら嬉しいだろうか。そして、イメージしている自分になるため、近付くため、まず自分の強みと弱みを知り、まずは強みを磨く必要がある。」ということです。時代が代わっても色あせない言葉で、中学生だけではなく、私にも、先生方にも響く言葉です。
体育館玄関の近くに、北を向いた石碑があります。「日新」と書かれています。
「日新」とは、中国の代表的な古典「四書五経」の一つである「大学」の中の一節に書かれています。原文は「苟(まこと)に日に新たに、日日に新たに、また日新たなり」という言葉です。中国の殷王朝を作った「湯王」の話で、どんなことでも安定してきて、毎日繰り返していると、惰性となりマンネリ化してしまうので、日々、洗面の器にこの文字を刻み付け、毎朝洗面するたびに、その文字を見て政治に取り組んだという逸話です。毎日、ただ何となく過ごしていては、成長には繋がらないので、一日一日を新たな気持ちで過ごすことが大切だということです。
まとめると、3つになります。
1つ目は、自分の言動に責任がもとう。そのために、心と体と頭を磨きましょう。
2つ目は、人生のちょっと先をイメージし、それに近づけるように強みを磨きましょう。
3つ目は、マンネリ化しないように、日々新たな気持ちをもち、常に問題意識をもち、自分の成長を念頭に取り組みましょう。
最後に、保護者の皆様に一言お祝いを申し上げます。お子様が立派に成長され立志を迎えられたこと、誠におめでとうございます。ここまで、あっという間の14年間だったのではないかと推察いたします。先ほどの誓いを実現できるよう、今後とも愛情と厳しさをもって見守り導いていただけますよう、お願いいたします。
結びに、保護者の皆様には、本校への御支援、御協力に深く感謝申し上げ、式辞といたします。本日は誠におめでとうございます。
令和7年2月4日
真岡市立物部中学校長 栁 利道