校長室から
感謝の心
一昨日、令和2年度修業式を行いました。
代表の生徒に修了証書を授与し、1年生27名、2年生33名全員の修了と進級を認めました。
校長講話の主な内容は、以下のとおりです。
進級できたのは、保護者や地域の方々、先生方など、多くの方々が皆さんを支えがあったから。
そのことを自覚し、その方々に、是非「ありがとうございました。」という感謝の心を伝えてほしい。
感謝は人にだけでなく、教科書やノート、ユニフォームや部活動の用具、楽器など、自分を成長させてくれた人以外の物にもありがとうという気持ちを表すことが大切。
感謝の気持ちを持てるというのは、精神的に大人になった証拠。
自分は周囲から支えられている、有り難いなという感謝の心があって、はじめて人は、安心して次のステップへと進むことができる。
ぜひ感謝の気持ちを大切にしてください。
2年生は、4月から3年生。学校の顔であり、リーダーである。
学校生活の全てにおいて、その方向性や雰囲気を決定付けることになる。
まずは、理想の物部中を、一人一人が思い描くことが大切。
次に、物部中をよりよくしていくための具体的な方法について、話し合う。
方向性が決まれば、次は実行。固い決意を持って、必ずやり遂げてること。
皆さんの力で生まれ変わる、新しい物部中学校を楽しみにしている。
1年生は、4月から2年生になり後輩である新1年生を迎える。
新1年生は、3年生とともにまずは2年生を手本とします。
新1年生の質問に、自信を持って答えられるように、この1年間をじっくりと振り返ることが大切。
また、最上級生である3年生にとって、頼るべきは2年生である。
中堅学年として、3年生をしっかりとサポートし、物部中を支える存在になってほしい。
令和3年度こそ、コロナ禍が収束に向かい、物部中の生徒が伸び伸びと学校生活を送れることを祈念しています。
感染再拡大の危機
新型コロナウイルスに関しては、順調に感染者が減っていた栃木県の状況が変わり、増加に転じています。
そのため、県は警戒度レベルが一つ上げ、県版ステージ2.5「厳重注意」にしました。
期間は、3月20日(土)~4月11日(日)までとなります。
特に、気を付けるべきこととして、「1都3県への不要不急の移動は避けること」や「マスクの着用、換気をはじめ、3密の回避や手洗いなど、基本的な感染防止対策の徹底」、「感染リスクが高まる『5つの場面』での注意」などがあります。
昨年も桜が咲くお花見の時期から感染者が急増し、学校も臨時休業にせざるを得ない状況となりました。
同じことを繰り返さないよう、本校としても緊張感を持って感染防止対策に取り組み、コロナ禍を一刻も早く収束させ、当たり前の日常、当たり前の学校生活を取り戻せるようにしたいと思います。
生徒の皆さんも、もうすぐ春休みですが、気を緩めることなく感染防止対策を徹底してください。
一人一人の心掛けが何よりも大切です。よろしくお願いします。
東日本大震災から10年
昨日、3月16日(火)、全校朝会を実施しました。
感染防止対策として、しばらくの間、全校朝会を各教室で映像を視聴する形で実施していましたが、県の警戒度レベルも下がったことから、久しぶりに体育館で実施しました。
1・2年生の生徒全員から、朝の元気な挨拶をいただき、身が引き締まる思いがしました。
講話の内容は、以下の3点です。
・憧れの3年生(卒業生)を超えていけるよう頑張りましょう。
・新型コロナウイルス感染症については、引き続き緊張感をもって感染防止対策を徹底していきましょう。
・東日本大震災の教訓を忘れず、防災意識を高めていきましょう。
特に、東日本大震災については、1・2年生にとっては、3~4歳での体験であることから、その概略を以下のように具体例を挙げて話をしました。
・先週の3月11日は、東日本大震災からちょうど10年目に当たる、節目の日だった。
・本校では、国旗を半旗掲揚にして弔意を表すとともに、シェイクアウト訓練を行った。
・担任から東日本大震災の話を聞いたあと、地震発生時刻である14時46分から1分間の黙とうを行い、震災で亡くなられた方々の御冥福をお祈りした。
・東日本大震災は、地震の規模を表すマグニチュードは9.0~9.1という超巨大地震で、日本では観測史上最大、世界でも4番目ぐらいに大きな地震である。
・巨大津波の発生により、甚大な被害がもたらされた。
・津波は、最大で海岸から6kmの内陸まで達し、津波の高さは10m以上(最大16m)、最大遡上高40mを記録した。
・死者・行方不明者は2万2千人にも及び、10年が経過した今なお、4万人ほどが避難生活を送っている。
・巨大津波により、福島第1原発の1~5号機で全ての電源を喪失し、1~3号炉で炉心溶融(メルトダウン)が発生、それに伴い、大量の放射性物質が空気中に拡散し、原発周辺が立ち入り禁止区域となった。
2011年3月11日(金)14時46分、通称「3.11」。この未曾有の震災を経験した私たちは、亡くなられた方々を悼みつつ、防災について改めて考える必要があります。
次に、発生が予想されている巨大地震は、「南海トラフ地震」です。静岡県から宮崎県にかけての一部では、震度7の強い揺れが想定され、また、関東地方から九州地方にかけての太平洋沿岸の広い地域に10mを超える大津波の襲来が想定されています。
日本大震災から10年、「3.11」を決して風化させることなく、本校では命を守るための防災教育の充実を図って参ります。
栄光の架け橋
本日、3月10日(水)、令和2年度卒業式を挙行しました。
コロナ禍により、規模を縮小しての実施となりましたが、式中の卒業生の態度は大変立派で、学校3年間の確かな成長と今後の大いなる飛躍への期待を感じさせてくれました。
式辞の中では、3年間のたくさんの活躍を振り返り、74年の長い物部中の歴史に輝かしい新たな一ページを刻んでくれたことについて、お礼を述べました。
また、はなむけに、第二次世界大戦のとき、ナチスの強制収容所に入れられたユダヤ人の中で、奇跡的に生き残ることができた精神科医のヴィクトール・フランクル氏の次の言葉を贈りました。
「どんなときも、人生には意味がある。」
「あなたを待っている『誰か」がいて、あなたを待っている『何か』がある。」
「そしてその「何か』や『誰か』のために あなたにもできることがある。」
コロナ禍の今だからこそ、逆境に屈することなく、希望を光を心に灯し、力強く前進してほしいという願いを込めて贈りました。
物部中を巣立ち、それぞれの道を歩む38名の卒業生の前途に、幸多からんことを心からお祈りいたします。
啓蟄(けいちつ)
今日、3月5日(金)は、二十四節気の一つ「啓蟄(けいちつ)」です。
「啓」には「開く、開放する」などの意味があります。
「蟄」には、「冬ごもりのために、虫などが土中に隠れ閉じこもる」などの意味があります。
そのため「啓蟄」とは、「春の暖かさを感じて、冬ごもりしていた虫が外に這い出てくる頃」を示します。
この時期は、一雨降るごとに気温が上がり、日足も目に見えて長くなるなど、春が確実に近付いてきます。
もちろん、目を覚ますのは、虫たちだけではありません。
わらびやぜんまいなどの山菜やつくしなども、土から顔をのぞかせます。
同時に、私たち人間も心躍るような、わくわくした気持ちになります。
3年生は新たな旅立ちに向けて、1・2年生は進級と新しい物部中の創造に向けて、いよいよ本格的な始動のときです。
物中生の大いなる飛躍を期待しています。
あえて怠けものを許す、アリの不思議な生態
先日、資料を整理していたらアリについての面白い話がありましたので、掲載します。
初夏の日差しの中、焼けつく地面を延々と列をつくり、エサを巣穴に運び入れるアリたちの姿は、勤勉という価値を具現したものに見えます。彼らの働き方は、太古から社会性生物として持続可能な集団生活のために進化し続け、たどり着いたものでもあります。
そんなアリたちはさぞかし働き者であると思われますが、実は、7割は働いていないということをご存知でしょうか。地表部分で懸命に働くアリたちの姿をみると、全体がフルに活動しているように見えますが、見えない部分で7割のアリたちは暇にしているというのです。そして、このアリたちの存在が、高度な社会的集団生活を成立させる肝であると言われています。
例えば、アリの中にも気まぐれで集団行動が苦手な個体がいます。そうしたアリは、仲間が出すフェロモンの道筋から迷い出てしまい、フラフラ彷徨っているように見えるときがあります。しかし、こうした行動が偶然にも新しいエサ(資源)の発見につながり、一躍英雄になることがあるそうです。
また、生まれてからの期間の差による分業を行い、子育てなどは若い個体が担当し、危険な仕事は寿命が短い個体が担当していると言われています。自然災害や天敵等によって巣穴が危機に直面したとき、決然と活動スイッチが入り、敵や災害に立ち向かう決死隊のように働くアリがいるということです。
このように、一見遊んでいたり、暇そうにしたりしているアリたちにも、役目がそれぞれ与えられています。ただ、その個体が生きているうちに、そうした反応を示す機会に出遭わないこともあるので、働かないように見えることがあるのでしょう。
アリたちの約7割が働いていないとは、知りませんでした。
気まぐれなアリや一見怠けてるように見えるアリによって、人間社会に匹敵する高度な集団生活を営むアリたちに、心から拍手を送りたいと思います。
宇宙の深淵
一昨日、2月24日(水)に、全校朝会を実施しました。
私からは、「緊急事態宣言発令解除後の新型コロナウイルス防止対策の徹底」、「県理科研究展覧会最優秀賞受賞」、「宇宙の始まりと終わり」の3点を話しました。
話の中心である「宇宙の始まりと終わり」の要旨は以下のとおりです。
多くの数を表す言葉に「星の数ほど」という言葉があります。
では、この宇宙には、どれぐらいの星の数があるのでしょうか。
肉眼で見ることができる星は、約4000個です。
一般的な大きさの銀河には星が50兆個ぐらいあり、その銀河が宇宙には2兆個ぐらいあります。
宇宙全体の星の数は、地球上にある全ての砂の数よりはるかに多いと言われています。
ちょっと信じがたいですが、事実です。
では、この宇宙はどのように誕生したのでしょうか。最新の宇宙論の一つを紹介します。
宇宙は「完全な虚無の世界」である、マザーユニバースから誕生したと考えられています。
今から138億年前にマザーユニバースの一部が変形し、暗黒エネルギーが解放されて他の場に供給され、偶然宇宙が誕生しました。
大きさは、1000兆分の1mほどの大きさしかありませんでした。
その後、急激なスピードでインフレーションと呼ばれる膨張が起こり、その直後にあの有名なビッグバンが起きたとされています。
そして宇宙誕生の3分後から、現在の宇宙にある物質すべての性質を決める元素ができはじめ、その後何種類もの原子がつくられ、やがて星がきらめき銀河が渦巻く、広大な宇宙ができあがりました。
次は、宇宙に終わりはあるのかという問題です。ここでは、宇宙に存在する物質を考える必要があります。
星の原料など私たちの知っている物質は、宇宙の全ての物質のわずか5%ほどでしかなく、残り25%が暗黒物質、さらに残り70%が暗黒エネルギーだということが分かってきました。
様々な研究から宇宙は、このまま加速度的な膨張が続くと考えられています。すると最後はどうなるのか。
全ての恒星が燃え尽き、銀河が消滅し、全てが薄まり続ける宇宙の中で、最後に残ったブラックホールすらも蒸発し、広がりすぎたがゆえに何も起きない漆黒の闇、冷たい静寂の宇宙、「ビッグウィンパー」が訪れるとされています。
宇宙について、誕生から終焉まで駆け足で見てきました。
不確実な部分はありますが、長い長い宇宙の歴史からすれば、極めて短い歴史しか持たない人類が、宇宙の謎の解明までもう一歩のところまで来ていることが、すごいと思います。
まさに、人間の無限の可能性を感じます。
この宇宙の話のように、難しい数学や物理は分からなくても、科学を楽しむことは十分にできます。
科学技術の一層の進展が予想される21世紀、科学に振り回されることなく、楽しんでみてはいかがでしょうか。
掃除をすると
校長室の前の廊下に、「凡事徹底」と書かれた表紙の日めくりカレンダーがあります。
発行は、「日本を美しくする会」です。
この会は、イエローハットの創業者、鍵山秀三郎氏が立ち上げたものです。
鍵山氏は、一代で同社を一部上場企業に育て上げましたが、同時に、よりよい社風の構築に向けて創業以来続けている「掃除」が世間の評判を呼び、後に掃除運動が会社内外に広がっていきました。
日めくりカレンダーの21日には、
-掃除をすると-
心が磨かれる
謙虚な人になれる
気づく人になれる
感動の心が育まれる
感謝の心が芽生える
と記されています。
本校では、無言清掃を推進しています。無言で清掃を行うことで、心を育てる教育です。
清掃の時間には、校内放送で「自分を磨き上げる20分。どれだけ無言で(意志を貫く力)、どれだけ見付けて(気づく力)、どれだけ人のために(気配りの力)、掃除ができるか。」とうい言葉が流れます。
「凡事徹底」を座右の銘とし、「掃除」による心の教育を推奨する、鍵山氏の言葉に通じる取組だと思います。
生徒たちが生きるこれからの時代は、将来の予測が困難な、変化の激しい時代になると言われています。
そのような状況は、往々にして人の心から余裕を奪い、「自分さえよければ」という風潮を生みがちです。
しかし、そのような厳しい時代だからこそ、感謝の気持ちを持って、謙虚に他人の役に立つことを行うことが大切だと思います。
本校では、今後も無言清掃を通した心の教育を推進して参ります。
世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ
2012年6月、ブラジルのリオデジャネイロで、国連の「持続可能な開発会議」が開催されました。世界の首脳・閣僚が参加し、自然と調和した人間社会の発展や貧困問題などが話し合われましたが、演壇に立った南米のある大統領のスピーチが、世界中に感動を巻き起こしました。8分間の熱弁が終わると、静まり返っていた会場は沸き立ち、聴衆の拍手は鳴り止むことはなかったのです。
その人は、ウルグアイ第40代大統領ホセ・ムヒカ氏(85)です。ムヒカ氏は、この演説をきっかけに一躍時の人となり、質素な暮らしぶりでも注目されました。大統領公邸には住まず、首都郊外の古びた平屋に妻のルシア・トポランスキ上院議員と二人で暮らしています。古い愛車をみずから運転し、庶民と変わらない生活、気取らない生き方を貫いたことで、いつしか尊敬を込めて、「世界で一番貧しい大統領」と呼ばれるようになりました。2009年の選挙で当選し大統領となってからも、給与のほとんどを寄付していたことでも知られています。ムヒカ氏は、2015年に大統領の職を辞し、上院議員として活動していましたが、2020年10月20日に高齢と持病を理由に政界からの引退を表明しました。
数々の名言を残したムヒカ氏ですが、先人の教えに基づく、「貧乏な人とは、少ししか物を持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ。」という言葉は胸に刺さります。
くしくも、SDGs「持続可能な開発目標」が、2015年の国連で全会一致で採択されました。貧困や環境、ジェンダーなど、17の目標と169のターゲットがあり、2030年までの達成を目指すとされてます。
ムヒカ氏の2012年の演説は、正にこれを先取りしたものとなっています。
最近、ムヒカ氏の2012年の演説を絵本にした「世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ」を読んで、上記のようなことを考えました。
SDGs、持続可能な社会の実現に向けて、どのような取組が可能か、本校の生徒たちと一緒に考えていきたいと思います。
おめでとう
本校の2名の3年生が共同で研究した理科研究の作品が、「第74回栃木県理科研究中央展覧会並びに発表会」で最優秀賞(県の1位!)に輝きました。
本校にとっては、平成10年度以来、22年ぶりの快挙となります。研究を行った、3年生の2人の生徒に心から拍手を送りたいと思います。おめでとうございます。
研究の題名は、「パスタの折れ方」です。
パスタに力を加えて折ると、2本ではなく3本以上に折れることがほとんどですが、その原因を様々な角度から追究し、パスタの折れ方の謎に迫りました。
例えば、パスタの長さや太さを変えて折ってみたり、左右を固定したパスタの中央におもりを吊り下げて折ってみたりしました。
また、折れる瞬間の様子をハイスピードカメラで撮影して、原因を探ったりもしています。
実験結果から新たな疑問が生まれ、方法を工夫してまたその謎に挑んでいく、ストーリー性のあるすばらしい研究だと思います。
県の審査員の先生からは、「普段、何気なく見過ごしてしまうことの中から疑問を見付け、パスタという身近な素材を用いて、根気強く研究を進めたことがすばらしい。」とお褒めの言葉をいただきました。
理科研究を行うと、物事を様々な角度から見る力や自由な発想力、論理的思考力などが育まれます。
これらの力は、人工知能の進化により大きな変化が予想される将来においても、大いに役立つはずです。
理科研究が物部中の新たな伝統となるよう、来年度に向けて、今の1・2年生の新たな挑戦を楽しみにしています。