校長室より

校長室より

夢の実現に向けて(校長室より No.32)

本日、1月24日(水)の朝、表彰と全校朝会を行いました。
全校朝会の主な内容は、以下のとおりです。


新年を迎え、生徒の皆も気持ちも新たに夢や目標を思い描いたことだろう。
新年がスタートして既に数週間が過ぎたが、果たして皆は、夢や目標の実現に向けて確かな歩みを進めることができているか。
「光陰矢のごとし」。
時の経つのは本当に早いもので、あっという間に時間は過ぎ去っていく。
漠然と日々を過ごしてはいけない。

それぞれの学年や立場に応じた夢や目標の設定は、その後の成長に重要な役割を果たす。
確かな夢や目標を持ち、それを実現するための具体策を考え、今しかできないことを着実に実行することが、何より大切である。
各界で活躍されている方々も子供のときに明確な夢や目標を持ち、それに向かって努力した。

メジャーリーグで大活躍している大谷翔平選手が、高校1年生のときに記した目標達成シート(オープンウィンドウ64)がここにある。
中心に一番成し得たい目標を書き、その周りに目標の達成に必要な8つの要素を書く。
大谷選手の場合は、高校1年生のときの成し得たい目標が「8球団からのドラフト1位指名」、そしてそれを実現するための8つの要素を「体づくり、コントロール、キレ、スピード160km、変化球、運、人間性、メンタル」とした。
8つの要素それぞれに8つの具体的な項目を書き、「8×8=64」となるためオープンウィンドウ64と言われている。

夢の実現、目標達成に向けて大切なことは、大谷選手の目標達成シートのように、今、自分がやるべきことを明確にすること、そしてそれがより具体的であること。
大谷選手は、高校時代に今やるべきことを何回も見直しており、最終的には3年間で16枚の目標達成シートを作成した。
また、野球に関することだけでなく、「運」や「人間性」を書き入れているところに彼のひととなりがうかがえ、そんな彼だからこそスポーツの垣根を越えて多くの人に愛されているのだと思う。

新年を迎え、皆さんが気持ちも新たに思い描いた様々な夢。
その夢を夢のままで終わらせないよう、そして将来その夢を通して社会に貢献できるよう、東中伝統の「心意気」を大切にしながら、今やるべき具体策を考え確かな歩みを進めてほしい。
御家族や東中の先生方も皆の夢の実現を全力で支援する。
一緒に夢を実現させよう。

(出典:『PRESIDENT』2018年7月30日号)

 

いつか必ず(校長室より No.31)

写真のように、校内のあちこちに飾られている「シャコバサボテン」がきれいな花を咲かせています。
この品種は、南米の高山を原産とするサボテンで、冬場のクリスマスの時期に開花することから、海外では「クリスマス・カクタス」とも呼ばれています。
開花には、日照時間が関係しているようです。

冬の寒い時期に咲いたシャコバサボテンの美しい花を見て、安積得也さんの「明日」という詩を思い出しました。
「はきだめに えんど豆咲き 泥地から 蓮の花が育つ
 人皆に美くしき種子(たね)あり 明日何が咲くか」

子供たちの限りない可能性に期待する作者の思いが込められた、すばらしい詩だと思います。
安積さんは、詩人としてだけではなく、官僚や栃木県知事(官選)、社会評論家など多方面で活躍された方です。
また、明治、大正、昭和、平成と4つの時代を生き抜いた方でもあります。

子供たちは様々な可能性の種子を秘めていますが、そこから咲く花は一つとして同じ形や色のものはなく、花の咲く時期も異なります。
しかし、必ず花は咲きます。

この詩を思い出して、改めて、教師の仕事は子供たちが持っている可能性を信じ、様々な支援をしながら、辛抱強く開花を待つことなのだと感じました。
生徒の皆さんも自身の中にある可能性の種子を信じ、努力してほしいと思います。
いつか必ず大輪の花が咲くはずです。

星に願いを(校長室より No.30)

冬の夜空を彩る「ふたご座流星群」が、12月15日(金)午前4時頃に極大(流星群自体の活動が最も活発になること)を迎えます。
ふたご座流星群が普段より目立って多く見えるのは、12月13日の夜から15日の夜の3夜と予想されます。
どの夜も、21時頃から見える流星の数が増え、夜明けを迎える翌朝の5時過ぎ頃まで観察できます。
空の暗い場所で観察した場合、14日21時頃には、すでに、1時間あたりの流星数が30個を超えそうです。
放射点が高い空に達する15日0時から3時頃においてはさらに多くなり、暗い空で見える流星数は、1時間あたり70個に達する可能性があると予想されます。
この予想流星数は、ここ数年のうちでは最も多く、絶好の観察条件と言えるでしょう。

流星は、ふたご座近くの「放射点」から四方八方に走り、空全体に現れます。
ふたご座の周辺だけに見られるわけではないので、観察に当たっては、街灯など人工の明かりが少なく、できるだけ空が広く見渡せる場所を選んで、空の広い範囲に注意を向けるとよいでしょう。
また、流星群の観察には、目が暗さに慣れるまで15分ほどは観察を続ける必要があります。
かぜをひかないように、暖かい格好で観察することも大切です。

ふたご座流星群は、1月のしぶんぎ座流星群、8月のペルセウス座流星群と並んで「三大流星群」と呼ばれています。
太古の昔から、人類は星にたくさんの願い事をしてきました。
今日も明日も天気は大丈夫そうです。
東中生の皆さん、この機会に流星群を観察し、願い事をしてみてはいかがでしょうか。
私も、「ふたご座流星群」の流れ星に、東中生みんなの願い事がかなうよう、お祈りするとしましょう。

人権週間に思う(校長室より No.29)

昨日、12月4日(月)から、人権週間が始まりました。
世界人権宣言が1948年12月10日に国連総会で採択されたことを記念して、日本では12月10日を最終日とする1週間を人権週間と定め、世界人権宣言の趣旨及びその重要性を広く国民に訴えかけるとともに、人権尊重思想の普及高揚に努めています。

人権とは、「すべての人々が生命と自由を確保し、それぞれの幸福を追求する権利」、「人間が人間らしく生きる権利で、生まれながらに持つ権利」のことです。
誰にとっても身近で大切なもの、日常の思いやりの心によって守られるものです。

世界人権宣言宣言が採択されてから70年以上が経過した現在も依然として多くの人権問題があり、偏見や差別に苦しんでいる人が大勢います。
様々な人権問題には、次のようなものがあります。
「同和問題。子ども、高齢者、障害者、女性、外国人、HIV感染者・ハンセン病患者及び元患者、インターネットによる人権侵害、災害に伴う人権問題、性的指向・性同一性障害(LGBT)にかかわる人権問題」等
また、今現在も、ウクライナとロシアの戦争やイスラエルとハマスの武力衝突などにより、多くの尊い命が失われています。

私たちの心の中には、自分とは違う一面を持つ人を差別する気持ちが入り込んでくることがあります。
その弱い気持ちに負けないためには、人権感覚を磨き続けなければなりません。
「自分の心に偏見の芽はないか、みんなと違うという理由だけで排除や差別をしていないか、弱い立場の人をいじめていないか」など、常に自分自身を厳しく見つめることが大切です。
これは生徒の皆さんだけでなく、我々大人も同じです。

世界大戦など20世紀までの反省の上に立ち、21世紀を全ての人の人権が尊重され、幸福が実現する時代にしたいとい願いを込めて「21世紀は『人権の世紀』である」としてきました。
我々大人はもちろん、これから21世紀を支えていく生徒の皆さんも一緒になって人権感覚を磨き、21世紀を全ての人の人権が尊重され、幸福が実現する時代にしていきましょう。

 

栄えある受賞(校長室より No.28)

先週、11月21日(火)に真岡市教育祭と芳賀郡市教育祭が開催されました。

本校からも真岡市教育祭で4名の生徒と吹奏楽部が、そして芳賀郡市教育祭で1名の生徒が、日頃の努力と実績が認められ、栄えある受賞となりました。
また、PTA副会長様、本校教職員も受賞されました。
本当におめでとうございます。

ひがし野祭などの大きな行事を通して、各学年とも大きく成長していますが、東中の主役はやっぱり3年生です。
卒業まで4か月を切りましたが、誉れ高き賞をいただいた3年生を中心に東中を大いに盛り上げてほしいと思います。
3年生の、更なる活躍を期待しています。
頑張ってください。

県大会出場、おめでとう!(校長室より No.27)

本日、真岡市生涯学習館において、「芳賀地区中学校英語スピーチコンテスト」が開催されました。
本校からは、2年生の男子生徒と3年生の女子生徒が出場しました。
2人とも練習の成果を存分に発揮し、すばらしいスピーチを披露してくれました。

スピーチコンテストへの出場は、一人で舞台に立ち、英語を使って自分の声や表情で表現するという最高の学びの機会になります。
大勢の人の前で英語で発表した経験は、将来、英語を使って外国の人と交渉をするときや、仕事で外国の人と信頼関係を築くとき、英語でプレゼンテーションをするときなどに、大いに役立つことと思います

 生徒の皆さんが生きるこれからの時代は、グローバル化が一層進展すると言われています。
グローバル化とは、情報通信技術の進展、交通手段の発達による移動の容易化、市場の国際的な開放等により、人、物材、情報の国際的移動が活性化して、様々な分野で「国境」の意義があいまいになるとともに、各国が相互に依存し、他国や国際社会の動向を無視できなくなる状況のことです。
そこでのやり取りは、当然英語で行われることになりますので、生徒たちの将来を見据え、本校でも英語教育の充実に力を入れているところです。
そのような中、今回のスピーチコンテストに、勇気を持ってチャレンジした2名の生徒に心から拍手を贈りたいと思います。

2名のうち3年生女子生徒の県大会出場が決定しました。
県大会出場が決まった3年のスピーチは、目を閉じるとネイティブと言われても当然と思うような、すばらしい出来栄えでした。
県大会でも、最優秀賞目指して頑張ってほしいと思います。

 

 

読書の秋(校長室より No.26)

10月も半ばとなり、季節は秋本番、過ごしやすく何をするにもよい季節となりました。
そのため、秋には「スポーツの秋」、「芸術の秋」など様々な言葉が当てられますが、今回は「読書の秋」に注目してみたいと思います。
読書は、言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身に付けていく上で欠くことのできないものです。

本校でも、学校図書館司書さんが中心となって、図書室に季節や時の話題に応じた特設コーナーを設けたり、定期的に新刊図書を紹介したりするなど、読書活動の推進に努めています。
現在、図書室の入り口には、写真のように「中学生に読んでほしい30冊」が展示されています。
某出版社の企画ですが、良書が多いため、本校でも生徒に勧めています。
なかなか貸出中にならないのがとても残念です。

以下にその30冊を示しますので、是非「読書の秋」を満喫してみてください。
思春期で多感な中学生の今だからこそ、感じ取れることがあるはずです。
親子で同じ本を読んで、感想などを語り合うのも良いと思います。


さがしもの  角田光代
博士の愛した数式  小川洋子
恐竜まみれ -発掘現場は今日も命がけ-  小林快次
坊っちゃん  夏目漱石
夜のピクニック  恩田陸
精霊の守り人  上橋菜穂子
つめたいよるに 江國香織
西の魔女が死んだ  梨木香歩
一晩置いたカレーはなぜおいしいのか  稲垣栄洋
注文の多い料理店  宮沢賢治

ぼくは勉強ができない  山田詠美
走れメロス  太宰治
風が強く吹いている  三浦しをん
星の王子様  サン=テグジュペリ(訳 河野万里子)
悪魔のいる天国  星新一
ツナグ  辻村深月
夏の庭 -The Friends-  湯本香樹実
きみの友だち  重松清
本屋さんのダイアナ  柚木麻子
赤毛のアン  L・M・モンゴメリ(訳 村岡花子)

あと少し、もう少し  瀬尾まいこ
天久鷹央の推理カルテ  知念実希人
海辺のカフカ(上・下)  村上春樹
十五少年漂流記  ジュール・ヴェルヌ(訳 波多野完治)
にんじん  ジュール・ルナール(訳 高野優)
蜘蛛の糸・杜子春  芥川龍之介
潮騒  三島由紀夫
アメリカひじき・火垂るの墓  野坂昭如
ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー  ブレディみかこ
車輪の下  ヘルマン・ヘッセ(訳 高橋健二)

 

 

おめでとう、東日本学校吹奏楽大会「金賞」!(校長室より No.25)

本日、山梨県甲府市・YCC県民文化ホールにおいて、東日本学校吹奏楽大会が行われました。

東関東代表(1位)として臨んだ本校吹奏楽部は、日頃の練習の成果を遺憾なく発揮し、見事金賞を獲得しました。本当におめでとうございます‼️今年度、創立43年目を迎えた本校の歴史に、輝かしい新たな1ページを刻んでくれました。応援に駆けつけた私も感動で泣きそうでした。

大会のたびに成長していく皆さんは、東中の誇りであり、無限の可能性を感じさせてくれます。大会は11月上旬まで続きます。吹奏楽部の皆さんのますますの活躍を祈念しています。頑張ってください。

残念だった今年の中秋の名月(校長室より No.24)

先週9月29日(金)は、「中秋の名月」でした。
残念ながら真岡市は曇り空(一部雨模様)で、あまり良く月が見られませんでした。

中秋の名月とは、太陰太陽暦の「中秋8月15日」の夜に見える月のことを指します。
中秋の名月を愛でる習慣は、平安時代に中国から伝わったと言われています。
今年の中秋の名月は満月と同じ日ですが、実は、中秋の名月と満月の日付がずれることは、しばしば起こります。
昨年と今年年は満月ですが、来年2024年は、中秋の名月が9月17日、満月が9月18日と日付がずれます。
来年以降だと中秋の名月が満月になるのは、2030年になります。
これは、中秋の名月は太陰太陽暦の日付(新月からの日数)で決まるのに対して、満月は、太陽、地球、月の位置関係で決まるからです。
月の公転軌道が楕円形であり、新月から満月までにかかる日数が13.9日から15.6日と大きく変化するためです。

ところで、月は季節にかかわらずいつでも見られるのに、なぜ昔から秋の月は美しいといわれるのでしょうか。
それは、秋の空気と月の適度な高さが関係しています。
秋の空気は、水分量が春や夏に比べて少なく乾燥しているため、澄んだ空気が月をくっきりと夜空に映し出します。
また、月は冬に近づくほど空の高い位置を通り、夏は低い位置を通ります。
近い方がよく見えますが、春は地上の埃などで月本来の明るさが霞んでしまいます。
そのため、空気の水分量、大気の状況や月の高さなど、月が最も美しく見える条件が揃う秋こそ、月見にふさわしいと言われてきたました。

昨年は天候にも恵まれ、見事な「中秋の名月」を満喫することができましたので、そのときの写真を載せておきます。
来年こそは、見られるとよいですね。

2022年9月10日 21時 真岡市東前公園にて

 

同じ命、最後まで責任を持って(校長室より No.23)

先週の9月20(水)日から、明日26日(火)までの1週間は、動物愛護週間です。
動物愛護週間は、法律によって、「ひろく国民の間に命あるものである動物の愛護と適正な飼育についての関心と理解を深めるようにするため」に設けるよう、定められているものです。

ペットとして飼われている犬や猫の多くは、家族として愛情を注がれ大切にされています。
しかし、中には心ない人もいて、新しく生まれた小さな命を含め、「捨て猫、捨て犬」が見られます。
以前、自然教育センターに勤務していたときにも、敷地内に子猫が捨てられていたことが何度かありました。
飼い主が見つからない犬や猫は、動物愛護センターで一時保護されます。
そして、譲渡会などで一定期間新しい飼い主を探しますが、どうしても見つからなければ、最後は殺処分となります。
殺処分の件数は、年々減ってきてるとはいえ、昨年度だけで1.4万匹以上の犬や猫が殺処分されています。

殺処分に関わっているある獣医さんは、「動物の命を助けたくて獣医になったのに、動物の命を奪うことになるなんて…」と悲痛な胸の内を吐露しています。

ドイツは、殺処分ゼロを実現してると言われています。
「日本に生まれなければよかった」
動物たちにそう言われないよう、人も動物も幸せに暮らせる社会を実現していきましょう!

迫る危機、万全の備えを!(校長室より No.22)

本日、9月20日(水)、全校朝会で校長講話を行いました。
9月1日の防災の日にちなんで、関東大震災の振り返りや予想される巨大地震、避難の心構え等について、話をしました。
主な内容は、以下のとおりです。


9月1日は、「防災の日」である。
防災の日とは、「台風、高潮、津波、地震等の災害についての認識を深め、それらの災害に対処する心構えを準備するため」の啓発日であり、 9月1日の日付は、今からちょうど100年前の1923年(大正12年)9月1日に発生した「関東大震災」に由来している。
関東大震災では、相模湾一帯を震源とするマグニチュード7.9の巨大地震により、死者・行方不明者は約10万5千人、建物の全半壊・焼失は約37万棟と関東一円に大災害がもたらされた。

毎年、この防災の日には全国各地で様々な訓練や催しが行われるが、今年の国の総合防災訓練は、1日午前710分に東京23区を震源とするマグニチュード7.3の大地震が発生し、東京都心を含む関東南部が震度7や6強の激しい揺れに襲われたとの想定で行われた。
実際、この想定にある「首都直下地震」は、政府の地震調査委員会が今後30年以内に70%の確率で起きると予測しているマグニチュード7程度の大地震のことである。
仮に、東京都心南部の直下でマグニチュード7.3の大地震が起きた場合、東京の江戸川区と江東区で震度7、東京、千葉、埼玉、神奈川の4つの都県で震度6強、栃木県でも震度6弱、5強ぐらいにはなるのではないかと言われている。
関東大震災同様、火災等により死者は、全体でおよそ2万3千人になると予想されている。

ところが、30年以内に70%の確率でと言われても差し迫った危機感を抱けないことが多い。
しかし、日本がプレートの境目に位置している以上は、ひずみのエネルギーがたまれば、いつかは必ず巨大地震が起きる。
現に、2011年(平成23年)3月11日に発生した日本観測史上最大のマグニチュード9.0の超巨大地震により、岩手・宮城・福島の東北3県を中心に東日本一帯に未曾有の災害をもたらした「東日本大震災」が引き起こされた。
東日本大震災以上の甚大な被害が想定される、「南海トラフ巨大地震」に関しては、今後40年以内に90%程度の確率で起こるとされており、日頃の備えが重要となる。
様々な災害が予想される以上、避難訓練は非常に大事であり、その成果が現れた事例を紹介する。
それは、「釜石の奇跡」と呼ばれ、岩手県釜石市の3千人近い小中学生のほぼ全員が、津波から無事に避難したことを指している。
震災の8年ほど前から、当時は群馬大学で教授をしていた片田敏孝氏は、災害のときにいかにして生き抜くかを、教職員や児童生徒に粘り強く伝え、共に考えてきた。
特に、釜石市立釜石東中学校は、海からわずか500m足らずの近距離に位置しているにもかかわらず、地震発生直後から迅速に避難行動を開始し、全員無事に高台に避難した。
その際、自らはもちろんのこと幼児や小学生、高齢者たちを助けながら避難した生徒も多くいたそうだ。
片田教授は避難の3原則として、「想定にとらわれないこと」、「最善を尽くすこと」、「率先避難者になること」を挙げおり、「釜石の奇跡」は、まさにそれを実践した事例となった。

しかし、災害時にいつも正しい避難行動がとれなくなる一因に、「正常性バイアス」と呼ばれる心のはたらきがある。
私たちの心は、日常生活を落ち着いて送るために、予期せぬ異常や危険に対して、ある程度鈍感にできてる。
ある限界までの異常は、正常の範囲内として処理する心のメカニズムを「正常性バイアス」と呼ぶ。
ところが、この私たちの心を守るための機能が非常事態の際、「大したことにはならない(はず)」「自分(だけ)は大丈夫」と危険を過小評価し、避難するタイミングを奪ってしまうことがある。
そうならないためにも、災害の際には「最悪を想定する」必要がある。

これらのことを参考に、「的確な判断」と「迅速な行動」により、まずは、自分の命を守ること。
そして、できれば「助けられる人」から「助ける人」になってほしい。
関東大震災からちょうど100年目の節目の年に当たり、関東大震災の振り返りや予想される巨大地震の被害想定、避難の心構え等について話をした。
もしものときに役立ててほしい。


まずは教職員が危機感を持って防災教育について真剣に取り組み、生徒一人一人に災害を生き抜く力を確実に身に付けさせたいと考えています。御家庭や地域におかれましても、災害発生時の避難行動について、改めて確認をお願いいたします。


 南海トラフ巨大地震の予想震度分布

 

敬老の日に寄せて(校長室より No.21)

昨日、9月18日(月)は、敬老の日でした。
敬老の日の由来となったのは、兵庫県多可郡野間谷村で行われていた「としよりの日」だととされています。
「としよりの日」は、お年寄りを敬い、その知恵を借りて村を作るために提唱されたのだそうです。
1947年に始まった「としよりの日」という行事は、兵庫県全体に広まったのち、次第に全国で行われるようになりました。
その後「としより」という表現を改めて、1963年に老人福祉法で「老人の日」として制定されました。
そして、1966年には、現在の「敬老の日」として国民の休日に制定され、お年寄りを敬愛し長寿をお祝いする日となったのです。
敬老の日は、2002年までは毎年9月15日でした。
「ハッピーマンデー制度」の導入により、9月15日だった敬老の日は「9月の第3月曜日」に変更されました。

昨日は、生徒の皆さんの中にも、おじいちゃんやおばあちゃんのお祝いを一緒に行った人がいると思います。
総務省の統計によると、65歳以上の高齢者は3623万人で、日本の全人口の約3割に当たります。
敬老の日がスタートした1966年当時の高齢者は600万人台でしたので、短期間で一気に増加したことが分かります。
今後、ますます高齢化は進んでいくことでしょう。
高齢者が住みよい世の中にしていくためには、どうすればよいか。
これからの日本を支える中学生だからこそ、真剣に考えてほしいと思います。

風はすべて追い風(校長室より No.20)

2学期がスタートして1週間ほどが経ちました。
順風満帆に好スタートが切れた人は、その調子で頑張りましょう。
でも中には、「あれ?こんなはずじゃ…」と悩んでいる人もいるかもしれません。
そんなあなたに、次の言葉を贈ります。

「風はすべて追い風。わたしがどこを向くかだ。」
これは、2014年の某ファッションビルのキャッチコピーです。
人生の中で、ときには「向かい風」を強く感じることがあると思います。
でも、少し向きを変えるだけでずいぶん進みやすくなりますし、180度向きを変えれば、完全な追い風です。

「初志貫徹」とは相いれない言葉かもしれませんが、本当につらいときは、視点を変えて「追い風」を探してみるのもいいかもしれません。
何かうまくいかないときは、他のことを試してみる、そんな柔軟性も必要です。
自分を変えてみれば、また違った景色が見えてくることもあるでしょう。

「風はすべて追い風。わたしがどこを向くかだ。」

がんばれ東中生!

「関東大震災から100年」、常に備えを(校長室より No.19)

先週、9月1日(金)は「防災の日」でした。
防災の日とは、「台風、高潮、津波、地震等の災害についての認識を深め、それらの災害に対処する心構えを準備するため」の啓発日です。
政府の首都直下地震を想定した総合防災訓練をはじめ、全国各地で防災に関する様々な取組が行われました。

9月1日の日付は、1923年(大正12年)に発生した「関東大震災」に由来しています。
100年前の9月1日(土)11時58分に発生した関東大震災では、相模湾一帯を震源とするマグニチュード7.9の巨大地震により、死者・行方不明者は約10万5千人、建物の全半壊・焼失は約37万棟と関東一円に大災害がもたらされました。

日本はプレートの境目に位置しており、ひずみのエネルギーがたまれば必ず巨大地震が起きます。
政府の地震調査委員会は、関東大震災と同様の首都直下地震が、今後30年以内に70%の確率で起きると予測しており、今後も油断は禁物です。

加えて、近年全国各地で起きているの豪雨被害も心配されるところですが、地震と違い台風や豪雨はある程度予測できます。
自治体の避難情報を受けて迅速に行動することが重要となります。

いずれにしても、災害発生時には「的確な判断」と「迅速な行動」により自らの命を守ることが何より大切です。
本校でも、避難訓練の充実等により災害発生時に自らの命を守る力を身に付けさせたいと思います。


【関東大震災のときにも発生した火災旋風】

5分後の未来を変えよう!(校長室より No.18)

いよいよ今日から2学期がスタートしました。
夏休み中、多きな事件・事故等もなく、元気いっぱいの生徒の皆さんと再会できたことをうれしく思います。

1学期の終業式では、「鉄は熱いうちに打て」の言葉とともに「鍛錬」の重要性を話しました。
きっとこの夏休みは、勉強に部活動に自分自身を「鍛錬」できた42日間になったことと思います。

第2学期始業式は、熱中症対策のためオンライン配信の形で実施しました。
主な内容は、以下のとおりです。


今日は式辞の中で、部活動のこと、2学期の期待、飛躍のためのメッセージの3つについて話す。

1つ目の部活動については、陸上部の選手が8月に愛媛県で行われた全国大会の男子400mで、自己ベストを更新する50秒94の好記録で、9~16位決定戦のトライアルレースに進み、全国14位のすばらしい成績を収めた。
これは、日頃のたゆまぬ努力の成果であり、本校の歴史に新たな輝かしい1ページを刻んでくた。
また、吹奏楽部が、夏休みに行われた栃木県吹奏楽コンクールで上位入賞を果たし、4年連続の東関東吹奏楽コンクールへの出場を決めた。
9月16日に神奈川県で行われる東関東でも、上位入賞を期待している。
また、9月14日には郡市新人陸上が、そして9月22日からは郡市新人各種大会が行われる。
3年生の頑張りに負けないよう、1・2年の活躍を大いに期待していまる。

2つ目は、2学期の期待についてである。
2学期は3つある学期の中でも最も長く、気候的にも過ごしやすい秋が中心だから、大きな成果が期待できる学期である。
また、ひがし野祭や駅伝フェスティバルなどの大きな行事があり、部活動も新人戦やコンクール、展覧会などが目白押しである。
行事や大会等に進んで真剣に取り組み、チャンスを逃さず、自分を大きく伸ばしてほしい。
3年生には、ひがし野祭を中心に、まさに東中の顔として中心となって活躍してくれることを期待している。
そして、何よりも来年に控えた受験に向けて確かな学力を身に付け、夢への扉を自分自身の手でしっかりと開けてほしい。
2年生は、3年生の後を受け継ぐ、大切な学期となる。
部活動もほぼ新チーム、新体制となり、生徒会役員選挙も12月に予定されている。
3年生の思いをもとに、東中のよき伝統を引き継ぎ、更に発展させる、そんな活躍を期待している。
1年生は、中学生としての土台を作り上げる大事な学期である。
土台が小さいと小さな建物しか建たないが、土台が大きくしっかりしていれば、どんな大きな建物も建てることができる。
先輩を見習いながら、その土台をしっかりと作ってほしい。

最後に3つ目。そのような大切な2学期を迎える皆に、1つのメッセージを送る。
それは「5分後の未来を変える」ということ。
皆は10年後の自分を想像できるか、あるいは20年後の未来はどうか。
想像はできるかもしれないが、10年後、20年後の未来を断定することは誰にもできない。
遠い未来を今この場で確実にコントロールすることは不可能である。
しかし、5分後の未来は、今すぐ自分の意志で変えることができる。
頑張ろうと努力するのも自分、もういいやと怠けるのも自分。
そして、怠けようとする自分を叱り、励ますのも自分自身である。
5分後の未来の積み重ねは、確実に10年後、20年後の未来につながっている。
「なりたい自分になる」ためには、「5分後の未来」を大切にしてほしい。
「心が変われば行動が変わる。行動が変われば習慣が変わる。習慣が変われば人格が変わる。人格が変われば運命が変わる。」
アメリカの心理学者であるウィリアム・ジェームズの言葉である。
未来に決まった運命があるとしても、心を入れ替えて「5分後の未来」を変え続ければ、その運命すらも変えることができるはず。


2学期の皆さんの頑張りを期待し、楽しみにしています。

ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ(校長室より No.17)

78年前の昨日、広島に原爆が投下されました。
その3日後の8月9日には、長崎にも原爆が投下されたのです。
20万人以上の尊い命が失われ、今も多くの人たちが後遺症に苦しんでいます。

原爆を含む核兵器は、全てを一瞬で焼き尽くし、放射能による重い後遺症を引き起こす、非人道的な兵器です。
高校の修学旅行で訪れた原爆資料館の展示品の数々は、今でも忘れることはできません。

世界平和が実現し、核兵器が一刻も早く廃絶されることを祈っています。

鉄は熱いうちに打て(校長室より No.16)

本日、第1学期終業式を実施しました。
70日間の1学期を終え、明日から42日間の夏休みに入ります。
安全には最大限の注意を払いつつ、自分を大きく伸ばせる、そんな夏休みにしてほしいと思います。
校長式辞の主な内容は、以下のとおりです。


1学期を振り返ってみると、新型コロナウイルス感染症が5月8日に5類に移行したことにより、、学校にも当たり前の日常が戻ってきた。
学校生活の様々な場面で、今まで以上に皆の笑顔があふれていたことをうれしく思う。
一人一人が、毎日の授業や部活動などに一生懸命に取り組み、本当によく頑張った。
その皆の頑張りが、通知表には記されている。
担任の先生がどんな思いで書いたのか、その思いを察しながら読んでほしい。

皆にとってこの1学期はどのような学期だったか。
1年生は、入学して3か月半が経ったが、新しく始まった中学校生活はどうだったか。
2年生は、中堅学年として、また、1年生のよき先輩として、その役割を果たせたか。
3年生は、本校の顔である最高学年として、そしてまた、受験生として全力で取り組めたか。
それぞれに課題はあったと思うが、どの学年も成長の跡が見られ、心身ともにたくましくなったと思う。
特に、今年度新たに定めた3つの約束、「時を守る 場を清める 礼を正す」は、しっかりと守れたことと思う。

明日からの夏休みは、自由な時間がたくさんあり、その使い方によっては、自分を大きく伸ばすチャンスである。
そこで皆に、「鉄は熱いうちに打て」という言葉を贈る。
あの固い鉄でも、真っ赤に熱すると、たたいて曲げたり、伸ばしたりすることができる。
また、真っ赤になった鉄をたたくと、激しく火花が散る。
この火花には不純物が含まれているので、何度もたたくことで、純度を高め、質の高い鉄を作り出すことができる。
これを「鍛錬」と言う。
しっかりと練習や稽古をすることも鍛錬というが、真っ赤に焼けた鉄を鍛えることが語源なのである。
しかし、冷めてしまうと曲げたり伸ばしたりすることは難しく、何より冷めた鉄をたたいても鉄の質を高めること、つまり鍛錬はできない。

ここから転じて、「鉄は熱いうちに打て」の意味は、「人は柔軟性のある若いうちに鍛えることが大事だ。」とか、「物事は時機を逃さないで実行することが大切だ。」となる。
今日、1学期が終わり通知表をもらう皆は、まさに「熱い」状態である。
今こそ、「鉄は熱いうちに打て」、「鍛錬」のときである。
この時期を逃さず、厳しさを持って自分と向き合い、大きく飛躍してほしい。

反面、「水は低きに流れ、人は易きに流れる」や「三日坊主」ということわざがあるように、人間は弱い生き物でもある。
もし、夏休み期間中、自分の弱い心に負けそうになったら、頑張ってる友達やおうちの人に相談し、刺激をもらってほしい。
また、担任や部活動の先生に、気合いを入れ直してもらうのも良いと思う。
もう一度言うが、今が鍛錬のときである。
明日から始まる夏休み、自分自身の夢の実現に向けて、自分の可能性を信じて、「今だからこそできること」、「今しかできないこと」に全力で取り組んでほしい。
東中のスローガンは、「心意気 ~東中PRIDE~」である。
夏休み中、心意気を持ってたくさんのことに挑戦し、鍛錬によって一段とたくましくなった皆さんと、2学期の始業式で会えることを楽しみにしている。

ぼくが ここに(校長室より No.15)

ぼくが ここに  まど・みちお

ぼくが ここに いるとき
ほかの どんなものも
ぼくに かさなって
ここに いることは できない

もしも ゾウが ここに いるならば
そのゾウだけ
マメが いるならば
その一つぶの マメだけ
しか ここに いることは できない

ああ このちきゅうの うえでは
こんなに だいじに
まもられているのだ
どんなものが どんなところに
いるときにも

その「いること」こそが
なににも まして
すばらしいこと として


これは、「ぞうさん」や「やぎさんゆうびん」、「一年生になったら」などの童謡の作詞で知られる、詩人「まど・みちお」さんの詩です。
「誰もが大事に守られているたったひとりの存在であり、そこにいること自体が何よりもすばらしいことなのだ。」と、まど・みちおさんは伝えてくれているのだと思います。
世界でたった一つのかけがえのない命を、どうか大切に

おうちの人や先生にも相談できない悩みがあったら、下記に電話してください。
チャイルドラインとちぎ 0120-99-7777
栃木いのちの電話 028-643-7830
こころのダイヤル 028-673-8341
いじめ相談さわやかテレホン 028-665-9999

 

群青忌(校長室より No.14)

「滝落ちて群青世界とどろけり」
これは、水原秋櫻子(しゅうおうし)の代表的な俳句で、秋櫻子が62歳、昭和29年(1954年)に詠んだものです。

この句にある滝は、和歌山県東牟婁郡那智勝浦町の「那智滝(なちのたき)」です。
那智滝は、一段の滝としては落差日本一で、日光の「華厳の滝」などともに日本三名瀑の一つに数えられています。

「群青世界」という言葉は、秋櫻子がこの句を詠むにあたり作った言葉です。
群青とは、深い藍青色を言います。那智大滝の水や滝壺の青、熊野の山々の古杉の葉の青、そして空の青と、正に群青の世界であり、青が目に飛び込んでくる視覚の世界です。

また、「とどろけり」は、高いところから水が落ちてきて、滝壺で音がとどろいているという情景ですが、聴覚の世界であると同時に、水しぶきが掛かってくるよな触覚の世界でもあります。
全体として、五感に訴える句となっています。

「滝落ちて群青世界とどろけり」
秋櫻子は、何を思ってこの句を詠んだのでしょうか。
自然の偉大さや自然への畏敬の念、悠久の時間、熊野の山々と滝から受ける神秘性、それとも自分もあの滝のように雄々しく生きたいという思いでしょうか。

来週、7月17日は秋櫻子の命日です。俳句の世界では、7月17日をこの句にちなんで「群青忌」と呼び、夏の季語となっています。
生徒の皆さんも是非お気に入りの俳句を見付けて、愛唱句としてください。
きっと日本語の奥深さに触れることができると思います。

読書の夏「青少年読書感想文全国コンクール『課題図書』」(校長室より No.13)

いよいよあと3週間で夏休みとなります。
42日間の長期の休みであり、時間的な余裕も十分にあると思います。
そこで、是非毎日の日課の中に読書の時間を設けてください。
特に、長期の休みは普段読まないジャンルの本に挑戦するチャンスです。
読書は、言葉を学ぶことはもちろん、感性を磨き創造力を豊かにしてくれます。
思春期を迎え、子供と大人の狭間で自分はどう生きるべきか思い悩む今だからこそ、良書に親しむことで、進むべき道が明らかになることもあります。
参考までに今年度の課題図書を以下に紹介します。
本校の図書室には、各課題図書が2冊ずつそろえてありますので、是非借りてください。


『スクラッチ』

コロナ禍で何もかもが中止、延期、規模縮小。今までの日常が奪われ、閉塞感の中で過ごした日々。中学生の4人が、もがきながら未来の自分へと手を伸ばす姿、揺れ動く繊細な心の変化に寄り添ってみてください。

『アップステージ:シャイなわたしが舞台に立つまで』

中学生たちが学校ミュージカルを一からつくりあげていく様子を描いた楽しい物語。恋あり、悩みあり、失敗あり、思わず吹き出してしまう場面も! 作中の「ザ・ミュージック・マン」は現在も上演されている作品です。

『人がつくった川・荒川:水害からいのちを守り、暮らしを豊かにする』

首都圏を貫く荒川は、たび重なる洪水に見舞われた「荒ぶる川」。これまで人の手で何度もつくり変えられてきました。同じような人工の川は日本各地にあります。温暖化による大水害も懸念される今、私たちは川とどう付き合うべきか。


長い夏休み、是非良書に親しんでください。
必ず君の成長を助けてくれるはずです。