校長室から

校長室から

赤鼻のトナカイ

「真っ赤なお鼻の トナカイさんは
 いつもみんなの 笑い者
 でもその年の クリスマスの日
 サンタのおじさんは 言いました。
 暗い夜道は ピカピカの
 お前の鼻が 役に立つのさ
 いつも泣いてた トナカイさんは
 こよいこそはと 喜びました。」

今日はクリスマス・イブです。
12月に入って、クリスマス・ソングの定番「赤鼻のトナカイ」が街に流れ出すと、何となくウキウキした気持ちになりますね。
ところで、この赤鼻のトナカイの名前は何でしょうか。
名前は、「ルドルフ」と言います。
もちろん、歌詞にはトナカイの名前は出てきませんが、そもそもこの歌はアメリカの絵本「RUDOLPH the red-nosed reindeer(ルドルフ 赤鼻のトナカイ)」がもとになって作られたものです。
この絵本は、次のようないきさつで作られました。


ロバート・メイという男が、2年前に重い病気になり、長い治療を続けている愛する妻エブリンと、4歳の娘のバーバラと一緒にアメリカのシカゴに暮らしていました。彼の仕事はコピーライターでしたが、収入は それほどのものはなく、やっと入った給料も、妻の治療費や薬代になってしまい、生活は苦しくなる一方でした。

毎日、病気の妻と小さい娘の世話をしながら働いていたロバートは、それでも毎晩、かわいい娘のために、眠る前のお話の読み聞かせをしていましたが、1939年12月のある晩、小さな娘が ふと言った言葉に、ロバートが即興で創り上げて話して聞かせたのが、この「ルドルフ 赤鼻のトナカイ」だったのです。

そのときの、4歳の娘バーバラの一言とは、「どうして、うちのママは みんなと違うの?」というものでした。
どうして わたしのママだけが、いつも苦しそうで、辛そうなんだろう?
どうして 他の家のママのように、ご飯を作ったり、私の着替えをしてくれたり、一緒にお出かけしないんだろう?
どうして うちのママは みんなと ちがうの???

ロバートは、それを聞いて心底動揺しました。
クリスマスが来るというのに、大事な娘のために 何もできない自分を責めたり、娘をかわいそうに思ったりしていたときだったので、バーバラの問いには、本当にどういう答えをしたものか、大いに悩みました。

それでも、父親である彼は、娘を喜ばせたい、なんとかしなくてはと思い、そのとき考えたのが、赤い鼻を持っているために辛い目にあっているというトナカイのお話です。
しかし、いじめられる原因となっていた赤い鼻が、霧の濃い吹雪の夜に、サンタクロースのそりの先頭を照らす明かりとなってみんなを導き一躍英雄となる、そんな話を寝る前の娘に毎晩のように話しました。

自分自身のコンプレックスを赤鼻のルドルフに託し、神様に創られた生き物はいつかきっと幸せになることを、幼い娘、病と闘う妻、そして自分自身に言い聞かせたかったからだということです。

※歌の歌詞は、絵本の内容を要約したものとなっています。


 コンプレックスは、誰の中にもあります。
そのために、人をうらやんだり、無いものねだりをしたりします。
しかし、見方を変えれば、コンプレックスは自分を成長させるために、必要なものなのかもしれません。
コンプレックスを克服しようと努力したり、欠点を補うように長所を伸ばしたりすることを考えれば、コンプレックスはエネルギーの塊とも言えます。
そして、ルドルフのように何かをきっかけに飛躍を果たすことができることでしょう。

積小為大の精神を受け継ぐ物中生のみんなが、コンプレックスと向き合い、それに屈することなく、多きな飛躍を遂げてくれることを信じて、クリスマス・イブに贈る言葉とします。
頑張りましょう! 

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